くせ 94
カッコいいと言われることは
嫌じゃない
寧ろ 嬉しいくらいだ
ユノ君の親戚のお兄さんという立ち位置も気に入っていた
父親だと言って 不思議に思われたり
妙に詮索されたりするよりは
ずっと気が楽だった
そうだ
これからも
【カッコいい ユノ君の親戚のお兄さん】
この設定で行くぞ!
誰が何と言おうと僕自身が気に入ったのだから
ユノ達の騎馬戦は後半のハイライトだ
ユノは・・・いたいた
スラリと細身のせいなのか
ユノはクラスメイトに担がれ
目だつところにいた
開始の笛が響き渡るやいなや
敵の鉢巻きを取る気満々の男子生徒たちが
縦横無尽にグラウンドを走り回る
「ユノー! 頑張れー!」
回りの父兄の盛り上がりに便乗して
僕は 大きな声を出した
「行けー そこだ そうそう」
ユノを乗せた騎馬は
早いスピードで動き回り
写真はなかなか撮ることができない
あれよあれよと言う間に
グラウンドの右に言ったり左に行ったり
一度カメラを構えて
一瞬でも目を離すと
探すのが大変だった
長い鉢巻きをひらひらと靡かせて
ユノは 数本の鉢巻きを手に持っていた
この調子だ
いいぞいいぞ
僕は 夢中でユノを応援した
父兄や先生方も興奮気味
クラスの女の子たちの甲高い声援で
更に盛り上がりを見せていたとき
「あっ 後ろっ」
ユノと同じように
数本の鉢巻きを持った別のチームの騎馬が近づき
ユノの鉢巻きに手をかけた
それは 一瞬の出来事で・・・
ユノは後ろに引っ張られ
鉢巻きも取られ
バランスを崩した騎馬から落とされたのだ
僕の視界から消えたユノ
怪我してないといいんだけど・・・
僕はカメラを持ったまま
必死にユノの姿を探した
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