癒しの T-Garden 赤い海の旅人

赤い華 65

赤い華51〜





ユノさんの そばに行きたかった


この手で あなたを抱きしめたかった・・・





那覇空港に降り立った瞬間に
東京とは全く違う空気を感じる


少し ねっとりとした
熱を含んだ湿気の多い熱風のような空気


まるで南の島に来たみたいな
リゾート感が漂う


てか本当に南の島なんだよな・・・


東京よりも かなり南
当然のように開放的な空気





日本は南北に長い


沖縄というところは 
梅雨が明けた直後の台風シーズンの前が 
一番天候も安定していて
旅行には最適らしいが
まだ その時期にはなっていない


けど
今年は空梅雨だ


6月だというのに
雨は殆ど降らないばかりか


ここ沖縄は もう梅雨明けのような
快晴が続いているという





TV番組で観た通りだ


空港の窓から差し込む日差しは強烈で
目が眩みそう





ユノさんが宿泊しているホテルまで
リムジンバスで1時間半


結構遠いんだ


暑いな・・・


午後4時を回っても
まだサンサンと照り付ける南国の太陽


ストライプのシャツのボタンを
一つ はずす


バスの中は程よい冷え具合で
暑かった俺には丁度いい





沖縄の地を踏むのは実は2度目


日本に来たばかりのころ
伯父と伯母 
そして
韓国から俺の様子を見に来た家族など
総勢7人で賑やかに旅行をした記憶がある


抜けるような青空と
どこまでも済んだ海
初めての海の美しさに感動した記憶が残っている


俺も大好きなところだ





結局 勇気を出せず
ユノさんに連絡もせずに
ここまで来てしまった


会えるかどうかも わからないのに


それでも
ユノさんがいる沖縄に来たかった・・・





明日も休みだし


1泊して明日帰ろう


夏休みではないためか


急な電話にもホテル側は丁寧に対応してくれて
結局 同じホテルに部屋を取ることができた





ホテルに着いた時
時計は もう6時を回っていた


夏至が近いことを無視しても
まだ一向に落ちる気配のない高い太陽


ここが かなり西に位置することを実感する





チェックインを済ませ
部屋に行くため エレベーターに向かう


歩き始めた時
そこそこ人の多いロビーの隅に
賑やかな集団が現れた





結構宿泊客も いるもんなんだな・・・





その集団が
ロビーの真ん中を歩いていく


大勢に囲まれて
真ん中で微笑むのは 
紛れもなく ユノさん





仕事を終えたのか


これから食事にでも行くのか


カメラに大荷物の若者もいる


これから まだ撮影があるのかもしれない


あれはメイクさんかな?


ユノさんと仲睦まじく
笑いながら話をしている女性


大きな笑い声を上げながら
ユノさんの肩を叩いている





あれじゃあ
まるで恋人同士じゃないか!?


わざわざ こんな光景を見るために
沖縄くんだりまで来たわけじゃない


ざわつく胸が煩わしい・・・





俺には気づかずに
正面玄関から出て行ったユノさん


大きな背中が遠ざかる





動くことができずに
その背中が遠ざかっていくのを
静かに視線の先で追った





少し目が潤んで
視界が ぼやけた


わかっている


ユノさんは芸能人なんだと・・・


いつも周りを人に囲まれて生きる人なんだと
改めて思い知った





連絡もせずに沖縄まで飛んできた
無謀な自分を嘲笑う





あなたまでの距離


15メートルくらいだったのに・・・





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