癒しの T-Garden 赤い海の旅人

紫色の誘惑 33

紫色の誘惑12





”チャンミンッ! 大丈夫?”


”キャーッ チャンミンさん! しっかりして”


『チャンミン! チャンミン!』





頭の奥の方で 声が聞こえる
意識が遠のく中で
沢山の声を聞いた


頭が 痛い・・・


ああ みんなが俺を心配してる?


サリーの声?


『チャンミン! チャンミン! おいっ!
大丈夫か? 痛いか? わかるか?』


ああ その声は


ユノさん・・・?


ユノさんが 俺を心配してくれてるの?
身体を抱き起こされて 
声をかけられているみたいだけど
目が開かない


動けない


そして


意識が なくなった





どのくらい 時間が経ったのだろう?


あっ 痛い 


頭がまだ 少し痛い


うっすらと目を開けると
なんか 薄暗い部屋


「ここは 何処?」


無機質な感じの部屋
夜なのかな
暗い部屋
ベッドの上に 横たわる自分


あ・・・


俺は ボウリングで転んだんだっけ?


情けないな


もしかして ここは病室?


少し痛む頭を横に向けてみると


ああ やっぱり 病院だ
手を動かそうとしたら


ん?


病室の入口ドアとは反対側にある 自分の手が
何かに触れている感覚


恐る恐る 見てみると
俺の左手が 誰かに握られていた
その人は ベッドに顔をつけて 寝ていた


「えっ? ユノさん?」


こっちに顔を向けて
椅子に座ったまま
ベッドに突っ伏して 寝ている


サラサラの髪が その綺麗な顔を
少し 隠してる
薄暗い中でもわかるんだ


ユノさん・・・


ついていてくれたの?


握られている手は とても 温かい


寝ているユノさんを 起こさないように
俺は 反対の手で
そっと ユノさんの頭を撫でてみた


頭 小さいんだな・・・


寝ている顔も すっとしていて美しい
少し 開いた口が微笑ましい


俺 凄く迷惑をかけたんじゃないだろうか?


きっと アッコさんもサリーもミノ達も 
ヒチョルさんだって 心配してる


ずっとついていてくれたであろうユノさんの
綺麗な寝顔や手を 誰にも遠慮することなく
暫く 眺めていた


アッコさんは いつもこの顔を眺めているのか・・・


言い用のない嫉妬心が
心に宿ったことを自覚した俺は
やっぱり ユノさんが好きなんだ


ここにいる この人のことを
好きになってしまったんだと
はっきりと 認めざるを得なかった


「ユノさん ありがとう・・・」


そう 呟いて


「もう少しだけ このまま手を握っていてください」


小さい声で呟いた


「この手の感触を忘れないように
もう少し このままでいてください」


寝ているユノさんに 1人で話しかけた





自分の失態で 迷惑をかけてしまったけれど
ユノさんが 今
俺のためだけに ここにいてくれているという事実


そう思うだけで 心が随分と満たされた


男の俺から こんな感情を持たれていると知ったら
きっと 引いてしまうだろうし
ユノさんは素敵な人だから きっと恋人がいる
それは アッコさんかもしれないし
実は 全く違う人かも知れない


恐らく こんな不埒な想いは
実ことはないだろうし
伝えることも 叶わないと思うから


もう少しだけ
このまま 夢のような時間を堪能させてほしい


夜の病室にユノさんと2人きり
突然おとずれた 幸せなひととき


店のお客さんに対する
仕事としての申し訳なさからくる行動だったとしても
俺は 嬉しかった


最初で 最後かもしれない
ユノさんの寝顔を見ていられる至福の時間


願わくば このまま時が止まってしまえばいい
朝なんか 来なければいい


ユノさんの長い睫毛を眺め
その頬に 唇に 触れたいと切に思った





頭を撫でた手を ゆっくりと滑らせ
ほんの少しだけ 耳と頬に 触れた


なぜ サリーやミノではなく 
オーナーのヒチョルさんでもなく
ユノさんが ここにいたのかなんて
その時は 全く考えもしなかった







にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村




スポンサーサイト



Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する