癒しの T-Garden 赤い海の旅人

GREEN ROAD 11

Green Road





『あ 寒いよな ごめんごめん』


「くしゅん」


また くしゃみをするチャンミンに
暖かいシャワーを使わせ
すぐにバスタオルで包んだ


素っ裸で立ったままだったことに
今更ながら気づいて後悔した





チャンミンに風邪をひかれたら大変だ
大切にしたいと思った矢先にこれでは
思っていることとしていることが正反対だ


くしゃみをしたチャンミンに温かいインスタントのスープを用意して
ソファーに座る


「あ ぽっち!」


俺の服を着て 突然声を上げたチャンミンは
どうやら あの小さいわんこを思い出したようだ


『ああ あのわんこね』


「一人でお留守番させてるんですけど
いつもより長いから 寂しがってるかも・・・」


そんなところもチャンミンらしい
優しいんだな


『明日はわんこも公園に連れてくれば?』


「いいですか? 邪魔しないようにします」


『ぽっちって言うんだ?』


「はい まだ飼い始めて2か月くらいなんです
なんとなく家に一人でいるよりも
あ 一人の時間も大好きなんですけど
ワンちゃんでもいた方が楽しいかな?って
飼い始めたんですけど
ユンホさんといるときは ぽっちのこと忘れてました
僕 ダメな飼い主ですねぇ」


『ははは そんなことないよ
可愛がってるの わかるし
俺もチャンミンの恋人として
明日 ぽっちに挨拶しておかないとな・・・』


「でも 少し心配・・・」


『何が? 俺 犬は大丈夫だぜ?
昔 実家でシベリアンハスキー飼ってたんだ
慣れてるよ』


「そうじゃなくて
ぽっち 女の子なんです」


『・・・?
あ 公園とかで他の犬と会ったりしたら?ってこと?
去勢してない犬もいるからなぁ
ぽっちはまだ避妊もしてなさそうだしな』


「基本家の中で飼おうと思ってはいたんですけど
ユンホさんカッコいいから 
ぽっちにユンホさんを取られちゃうような気がして・・・」


『えっ? 何それ どういうこと?
俺がチャンミンよりぽっちに夢中になるかもってこと?』


「はい・・・
それにぽっちが 僕よりもユンホさんに懐いちゃいそうで」


『あーははは 
チャンミンおかしい
それって チャンミンがぽっちに嫉妬してるってことだよな』


「・・・」


『嫉妬してくれるなんて 嬉しすぎるよ
嫉妬するチャンミンが見れるだけでも
ぽっちを可愛がる甲斐がありそうだ』


「ユンホさん!」


『バカだな・・・
嫉妬してるのは 俺のほうなのに
チャンミンの愛を一身に受けるぽっちが羨ましくて堪らないのにな』


なかなか別れられなくて 
再び軽く唇を合わせあう


「ん・・・」


『チャンミンの唇 スープの味がする』


「美味しい?」


『デリシャス!』


ずっと キスして抱きあっていたい


「今日は忘れられない日になりそう
お留守番のぽっちにも感謝しないと」


『そうだな
でも 2人がいいコトするときは
これからも留守番してもらわないとな』


「ユンホさん・・・」


真っ赤になったチャンミンが
俺の胸にコツンとおでこをつけてきた


仕草が可愛すぎるだろ・・・





「僕 そろそろ帰りますね
今日はありがとうございました」


濡れたままの脱いだ衣服をコンビニ袋に入れて渡す


『こんなのしかなくて ごめん』


俺の服を着たチャンミンを玄関で見送る


「じゃあユンホさん また明日」


『サンダル 履いてく?』


「いえ いいです 
どうせ この雨ではまた濡れますから」


『気をつけて 下まで送るよ』


「ううん ここで大丈夫です
ユンホさんも風邪ひかないように注意してくださいね」


かたくなに ここでいいと断られ
チャンミンを玄関で見送った


勿論 最後にもう一度だけキスをして・・・





部屋の窓から 外を見る
まだ 雨はやむ気配はなく
なかなかの勢いで振り続けていた


俺の傘を持ったチャンミンがマンションから出て行く


少し歩いたところで 
チャンミンが振り返り 傘を上げる
俺の部屋を見て大きく手を振った


背も高く すらっとしたイケメンなのに
とても透明感のあるチャンミンと
出逢えたことに心底感謝をして
俺も負けじと大きく手を振った


次の曲がり角を曲がるまで
ずっと見ていた


チャンミン これからもよろしくな
心の中で呟いて・・・








昨日の大雨が嘘ように晴れ渡った翌朝
俺はいつものように出かける準備をした


青い空以上に清々しく晴れた俺の心
ウキウキする気持ちは
小学生の時の遠足の朝と変わらない


いつも見かける高齢者の様子を見て
ベンチに腰掛けていたが
その日
チャンミンは俺の待つ公園には 現れなかった





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