紫色の誘惑 12

帰宅してからも
”あの人” に触れられた 手首と背中が熱い
俺は一体どうしたのだろう・・・?
ミノは 上機嫌で帰っていき
来週 4人で行こうと誘ってきた
お前とメグちゃんで行ってこいよ
週末は サリーを誘って映画でも
なんて 考えていたのに
すっかり その気も失せてしまった俺
カカオのやり取りも そっけなくて
結局 俺もサリーも
どちらからも デートの誘いはなかった
そんな週末から 更に2週間ほど経った頃
サリーから連絡があった
次の週末 会いたいと
”夜 食事しない?” って・・・
土曜日は お互い仕事が休みだし
大学在学中に つきあいだした頃から
週末は少しでも 長く一緒にいたくて
朝から出かけたりしていた
でも 最近のお互いの忙しさや 俺のそっけなさで
2人の間には うっすらとではあるけれど 距離ができていた
あまり会えなかったことに加えて
ここのところの俺の態度に
サリーも 嫌気がさしたのかもしれないな
少し前から
”無理しなくていいよ 忙しいなら”
とか 言うようになったし
倦怠期 という言葉が頭を掠めた
永年連れ添った夫婦というわけでもないのに
そんな言葉がしっくりきてしまう
要は あまり興味がなくなったのだ
サリーもなのかな?
いや 俺の方が だ
就職してから マンネリ気味だったのは事実だから・・・
ミノには 仕事を理由に4人のデートは断っている
そして
俺は その後 あの店には行っていない
”あの人” は変わらず
カウンターで カッコよく カクテルを作っているのだろうか?
新しいお客さんに
その人のイメージのカクテルを
プレゼントしているのだろうか・・・
少し長めのサラサラな髪を 思い出す
翌日
サリーが行きたいという
イタリアンのお店に予約を入れた
食事が 終わったら 別れを告げようか
今のままでは サリーに失礼だ
自分の心を 誤魔化して 無理に一緒にいる必要もないし
何より 明るいサリーの将来を考えれば
先がない男と一緒に 無駄な時間を過ごさせるわけにはいかない
俺自身も 頭を冷やす時間が
必要みたいだ・・・
サリーの希望で 土曜日7時に予約を入れた店は
何と あのBar ”Paper Moon” の すぐ近くだった
当日まで 店の場所も確認しないなんて
俺も やる気ないな・・・
やっぱり サリーとは別れよう
そう決心し 約束の店に向かった
”Paper Moon” の前を歩いて通るとき
無意識に 入口を見てしまう・・・
店の前には
黒いスポーツタイプの車が1台 止まっていた
こんな カッコいい車で ここに遊びに来る人もいるんだな
オシャレな店内を 思い出しながら
約束の店のドアをゆっくりと開けた
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