癒しの T-Garden 赤い海の旅人

黒い瞳が邪魔をする 第四幕 21話

黒い瞳 四幕 1~





Y side





『あー 気持ちいいーっ』


高く青空に向かって 思い切り伸びをする


”本当に気持ちいいな” ドンへも同調する


目を閉じて 息を大きく吸い込めば
身体の中に染み入るカリフォルニアの乾いた空気


初めてアメリカ大陸に足を踏み入れた瞬間だった





親友ドンへの半ば無理矢理の誘いで訪れた大地


ここは愛するチャンミナが居るところだ


ソウルに比べると
遥かに高い空 乾いた空気 


濃い青に彩られた広い空は
なるほど開放的なところだ


この明るい土地で
真面目なチャンミナは毎日何をしているのだろうか・・・





”ユノ すんげー 気持ちいいだろ?”


長いつき合いになるドンへの顔を
まじまじと眺めて頷いた


ドンへに言わせると
俺はチャンミナと別れてから
あまり笑わなくなったそうだ


行きの機内でも上映されている映画を観ながら
能天気に笑う一方で
チラチラと俺の様子を気にするドンへに
気づいてないわけではない


本来ならば
人の心配をする前に 自分のことを心配しろよと
悪態の一つでも ついてやりたいところだけれど


俺のことを案じて
この旅行に誘ってくれたドンへに
今回ばかりは素直に感謝しようと決めた


何も言わずに
ドンへの存在を ただただ有り難く思った





俺たちの一番の目的は チャンミナを探すこと


その姿を遠くから一目見て
元気でいることを確認したい


楽しそうなら それでいいんだ


冷たく別れを告げた俺のことを忘れて
新しい世界で いい人を見つけてくれていたら
それでいいんだ


お前の幸せだけが俺の願いなんだから・・・





”おいっ ユノ 
湿っぽい顔してんじゃねーよ
ここ 何処だか知ってるか?”


『何言ってんだよ アメリカだろ』


”そうそう チャンミンのいるアメリカ な?
そこんとこ間違えるなよ”


『・・・何だよ・・・』





”さ 早速行くぞ”


ドンへにしては珍しく
事前の下調べが万端で
スケジュールが ちゃんと決められていた


全て俺のことを思ってのことだと思うと泣けてくるじゃないか


ドンへの言う通りにするよ





ホテルにチェックインを済ませ
ハンバーガーで腹ごしらえを兼ねて
作戦会議に乗り出した


”スゲーな ユノ みんな胸でかくね?”


『それが目的かよ?』


”いや だってさ ほらっ あっ わっ すげー”


ハンバーガーのチーズを唇の端につけたまま
ポカンと口を開けるドンへがなんともマヌケだ


白人女の大きな胸や露出の多い服から見える胸の谷間や
ミニスカートからのぞく太ももには
全く興味が湧かない俺からしてみれば
ドンへの行動が ただオカシイだけだ


一般的には ドンへが正常なんだろうな・・・


歩く度に ゆっさゆっさと揺れる大きな胸や
ブロンドの長髪よりも
俺は今 目の前にある巨大なフライドポテトの山に目を丸くしている


何だって アメリカはこうも巨大なんだ?


ハンバーガーの大きさもさることながら
ドリンクのカップの大きさ


これでM? 


世界中にある有名ハンバーガーチェーンだというのに
ソウルで飲むようなSサイズは存在していない上


付け合わせについてくるポテトが
可愛い紙袋に入っているわけではない
トレイの上に トングで山盛りポテトをバーンと乗せられたのだ


『マジかよ・・・』


まだ その衝撃から抜け出せないでいるのに


ドンへの奴と来たら 女の胸に釘づけだ





チャンミナ・・・


チャンミナもソウルでは見ない女たちに囲まれて
楽しく過ごしているだろうか・・・


恋人は できただろうか?


彼女ができたって そう言えば聞いたっけ・・・


でも自分の目で確かめるまでは
どうしても チャンミンと女のコが一緒にいる様子を
想像することができなかった


ボリューミーなナイスバディに
デレデレが止まらないドンへの姿に
救われている自分がいた





”ユノ お前 そんな湿っぽい顔してると
天気まで悪くなりそうだから やめてくれよ”


『悪かったな 俺はもともとそういう顔だよ』


”早く食えよ こんな景色のいいハンバーガー屋 
ソウルにはねぇぞ”


ドンへの言う景色とは 
ブロンドの女たちのことだ


カップルで来ているものもいるが
なるほど スキンシップの激しさも
韓国人の更に上を行く


人前でも普通に抱き合ってキスをする


腰に手回したまま 見つめあって またキスをする


しかも濃厚だ


見ているこっちが照れるじゃないか・・・





一向に減る気配のないポテトの山に 


ドンへの手が伸びる


”うめーな コレ ユノが食わないなら俺もらうよ”


『いいよ 全部食っても
俺 飛行機酔いと アメリカサイズのボリューム酔い』


”ユノくん 繊細なのね~
じゃあ あたしがもらってあげる”


『ぷっ 気持ち悪いな』


少しでも 俺を和ませようとしてくれるドンへ


俺 お前のこと 大好きだよ


たわいない話をしながら
ハンバーガーとコーラだけは
何とか腹に収めた





”今日は もう疲れたから 明日朝から行動開始な?”


『ああ・・・お休み』


作戦会議と言う名目の
ドンへの巨乳鑑賞会につき合っただけで
初日の夜は すぐさま眠りについた





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