癒しの T-Garden 赤い海の旅人

黒い瞳が邪魔をする 第四幕 20話

黒い瞳 四幕 1~





C side





久しぶりに口にする母さんのご飯は やっぱり美味しくて


”チャンミン 少し痩せたんじゃない?”


「そうかな・・・
ブラウンさんの作るものを全部食べてたら大変なことになりそうだから
もともとそんなに食べないんだって言ってみたんだけど
夕飯は かなりの量・・・
アメリカ人て 食べる量が尋常じゃないんだよね
いくら僕が大食漢でも あれは危ないよ」


”そうなの?”


「母さんが見たらビックリするよ」


”じゃあ チャンミンは自分で気をつけて食べ過ぎないようにしているってことね”


「うん まぁ そんなとこ」


ユノヒョンのことを考えていると
食べられないってときも あるんだけど・・・





翌日 夕方からキュヒョンと会う約束をしていた


待ち合わせの前に 僕はユノヒョンの家の近くに行ってみた


もうすぐ就職だろうから
大学の近くの部屋は絶対に引き払っているだろうと踏んでいた


きっと 実家に戻っているはずだ


逢いに行くんじゃない


自分の気持ちを確かめに行くんだ


ユノヒョンを 一目だけでもいい
遠くから見ることができたならば
自分の気持ちがハッキリわかるに違いないと思ったのだ





僕と別れるきっかけにも なったであろう彼女と
今もまだ 続いているのかな?


どんな人なのか想像すらつかないけれど
好きな人がいると告げられた時のユノヒョンの表情


僕は覚えているよ


辛そうだった


本当に 僕に申し訳ないと思ってくれたんだよね


だからさ
彼女と幸せそうにしているところでも見たら
僕は本当に諦めが つくんじゃないかと思うんだ


ううん


諦めなくちゃいけないんだって
自分に言い聞かせることができると思ってる


だから


ほんの一瞬でもいいんだ


ユノヒョンの今を 


今のユノヒョンを 


ちょっとだけ 覗きたいと思う





そんなことを考えながら
フラフラとユノヒョンの実家近くをうろうろしていた


一緒にベンチで座って話をした公園は 
子供たちで 賑わっていた





桜の季節に この公園を通って
ユノヒョンの家に行ったっけ


そして あの部屋で
僕は初めて 
ユノヒョンに抱かれた





あの日から2年経つ


そして 別れてからは半年


僕はね ヒョン


今でも
ヒョンの手が触れたときの痺れるような感覚を
忘れてないよ


優しい眼差しも 温かい胸も
僕を呼ぶ 大好きな低い声も・・・





ぼんやりと歩いていたんだろう


気づけば
ユノヒョンの実家の前に立っていた





”あら? もしかして チャンミン君?”


「・・・あ・・・おばさん・・・」


声をかけてきたのは
他でもない
ユノヒョンのお母さんだった


何度か遊びに行ったときに会ったことがある


”やっぱりそうだわ チャンミン君よね?
暫くぶりね”


「ご無沙汰しています」


”元気だった? ここのところ全然話を聞かないから
どうしたのかしら?って思っていたのよ?
ユノとは連絡取ってないのね?”


「あ はい・・・」


”そりゃあそうよね
同じ年のお友達と居る方が楽しいわよね”


「あ そういうわけじゃ・・・」


僕は何と答えたらいいのかわからなくて
口ごもってしまった


“今日はどうしたの?
まさか ユンホに会いに?”


「いえ たまたま この先に友達の家があって
通りかかっただけなんです」


咄嗟に嘘をついた


きっと変に思われているね


”そうなの・・・
ユンホがいれば呼ぶんだけど
今ね いないのよ”


「え? そうですか」


何処に 誰と何をしに行っているのか


知りたくて 聞きたくて 堪らなくなった


僕のそんな気持ちを救うように
おばさんから話してくれたおかげで
ユノヒョンの今を知ることになった





”あの子ね 今 旅行中なのよ
もうすぐ就職だって言うのにね
ドンへ君 知ってる?”


「はい 知ってます」


”ドンへ君と二人でアメリカに行っているのよ?”


アメリカ・・・?


ああ そうか


おばさんは僕がアメリカに留学したことを知らないんだ


”残念ね 昨日出発したばかりだから
来週まで帰って来ないわ”


昨日・・・


僕とは完全なすれ違い


まるで 神様から
逢うなと言われているような気がした


”家もそんなに遠くないんだし
就職したら いくら忙しいと言っても少しすれば落ち着くでしょうから
また 遊びに来てね”


「はい ありがとうございます」


それだけ言うのが精一杯だった・・・





ユノヒョン 


就職 決まったんだね


おめでとう


きっと いいところなんだろうね


イキイキと仕事をするユノヒョンを想像して


僕は目頭が熱くなった





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