黒い瞳が邪魔をする 第四幕 18話
C side
もしかして 僕は少し大人になった?
それとも たかだか缶のビールを2本飲んだくらいで
大人になったと思うなんて
やっぱりまだ子供なのかな
ちょっと気持ちよくなったこと
ハヌルと別れて気持ちが軽くなったこと
仲間たちと騒ぐのが楽しかったことで
僕もマークも調子に乗ってしまった
外国人の友達と対等に話せるようになったことも
嬉しかったせいか
女の子たちとダンスのマネごとをして
ノリで キスをしたり抱き合ったりしてしまった
その場にいる友人たちにとっては
大したことではないようで
いつものスキンシップみたいなものなんだろうと思った
事実 後腐れもなく 僕は気が楽だった
相手に何の感情もないと
身体に触れても何も感じないものなんだな・・・
でも相手が女のコだと
変に誤解されないように気をつけなくちゃね
楽しい日々を過ごして
半年ほどが過ぎて行った
桜の咲く季節を前に
僕は韓国に一度帰ることになっていたので
ブラウンさんに挨拶をして1週間の予定で旅立った
ソウルは変わっていないかな・・・
小うるさい妹は少しはダイエットに成功しただろうか
父さんや母さんは元気かな?
Face Time や Skype で姿は見ていても
実際会ってみるまでは心配でもあった
久しぶりの仁川国際空港は
少し緊張する
到着ロビーから
エスカレーターで出発フロアへ下りていく
出発フロアからバスで帰ろうと思ったのだ
長いエスカレーターを下る僕
これから出発する人たちは隣のエスカレーターで
出発ロビーに上がっていく
僕も数か月前は このエスカレーターを上ったんだ
数か月って早いな・・・
そんなことを思いながら空港の中を見回した
さすが アジアのハブ空港と言われるだけあって
大きく進んだ設備だ
このざわめきも懐かしい
いつも のんびりとした
カリフォルニアの空気を吸っていたから
妙に都会に来た気分だ
バスでソウルに向かう間に
アメリカで購入したスマホを
韓国で使えるように設定を変更する
早速 親友のキュヒョンから連絡が入っていた
今週末にでも会おうと・・・
僕も早くキュヒョンに会いたかった
久しぶりに会う家族は
ちっとも変わってなくて
僕のアメリカ話や妹の学校の話で盛り上がり
家族の団欒は あっという間に時間が経った
”ねぇねぇ お兄ちゃんたらさ
金髪のボンキュッボンの彼女できた?”
「いたよ」
”えーいたの?”
「でも別れた」
”えーっ? 何でー? てか早くない?別れるの”
「いいだろ 合わなかったんだよ」
”ふーん”
ハヌルの顔を思い浮かべながら
ボンキュッボンの金髪ではないけれど
僕はウソをついた
何か 意味ありげに僕の顔を覗き込む妹が憎らしい
「なんだよ?」
”あ~あ~ お兄ちゃんて本当に残念
結構いいセン行ってると思うのになぁ~
ちょっとキモイオタク気質ではあるけれどさ
お兄ちゃんが アメリカ行っちゃったから ユンホさんの話 聞けなくて更に残念”
ユノヒョン・・・
何も知らない妹の何気ない一言で
胸の奥がズキンと音を立てる
ユノヒョン 元気にしてるのかな?
もうすぐ きっと就職だね・・・
目頭が熱くなる
家族に気づかれないように
そっとトイレに立った
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