癒しの T-Garden 赤い海の旅人

紫色の誘惑 95

紫色の誘惑 91〜100





『チャンミン 待てって』


こんなときにエレベーターがなかなか来ない
早く 早く 来てくれ


『ちょっと どうしたんだよ?
待てって言ってるだろ!
ホントにもう ハァ ハァ』


走って来たユノさんの息が切れる





『なんで行っちゃうんだよ?
まだ話は終わってないんだ』


「これから告白に行くんでしょう? 
だから早い方がいいって言ったんです」


『それ 何?
気でも利かせてるつもり?』


「・・・」


やっと到着したエレベーターの扉が開いた途端
ユノさんに腕を掴まれて 強引に乗せられる


ユノさんは無言で行き先ボタンを押した
俺の腕を離さずに・・・


「ちょっと離してください」


『・・・』


怖い顔をして扉を見つめるユノさん


扉が開くと
俺の腕を掴んだまま歩き出した


「離して 帰るって言っただろ?」


振りほどこうとしても振りほどけない 
なんて強い力なんだ


『離したら このまま逃げるだろ?
まだ話は終わってないんだ』


さっさとルームキーを差し込み
部屋のドアを開ける


そのまま部屋の奥まで連れていかれて


ベッドの前で 
ようやくユノさんの手が離れた





『頼む チャンミン 最後まで聞いて』


そんな切羽詰まった顔で頼まれても
俺はまだ準備ができていない


これから失恋するのに・・・


はっきりと拒絶されるのに・・・


まだ 準備ができていないんだ・・・





なのに 
あなたはそんな俺の心の中なんてお構いなしに
自分のことを話そうとする


残酷な人





「わかりましたよ 聞きます」


諦めてユノさんに背を向けて
窓の外に視線を移す





窓の外に映る大阪の街
ここにたくさんの人がいる
家族と一緒に楽しくご飯を食べている人もいれば
まだ仕事をしている人も いる


そして
恋人同士で愛を確かめあっている人たちもいるだろう


俺はなんだ?


今 自分が世界で一番可哀そうなんじゃないかとすら思えて
滑稽な気分だ





『チャンミン こっち向いて』


目を瞑ったまま振り向いた





『よく聞いて
俺 チャンミンが好きだ』





何度も聞いたセリフ
”友達” だもんな
目を開けると ユノさんの真剣な表情


「わかってますよ
で? 怖いから?
まさか告白しに行くのに
着いてきてほしいとか言うんじゃないですよね?」


ああ 俺って何て捻くれてるんだろう





『チャンミン・・・
俺の言い方が悪かったかな?
もう一度 言う』


俺の両肩に手を置いて
真剣な顔をしたユノさんが
ふーっと肩で大きく息を吐いた


「・・・」


『俺 チャンミンのことが好きなんだ
友達としてじゃなくて 愛する相手として見てる
今日は 俺の気持ちを 
チャンミンにきちんと伝えたくて此処に来た』





えっ?





今 何て言った?





無表情のまま 
ユノさんの顔をポカンと見たまま
動けなかった・・・





『どうしても伝えたかった
今 俺 相当混乱してる』





そう言うと ユノさんは窓の方をみて 
また ふーっと大きく息を吐いた





『さっきの話 全部チャンミンのことだよ
悩みに悩んだ末の決心なんだ
だから ちゃんと聞いてほしくて』





「・・・」





ユノさん・・・


何言ってるの?


よく 聞こえない


今 俺は何を言われたの?


ユノさんの告白って・・・


今の?





まだ 何も言えない俺に
優しく声を かけてくる





『チャンミン・・・大丈夫か?
驚かせて ごめん』





「あの 今 何て言ったんですか?
俺 うまく聞きとれなくて・・・
もう一度 言ってはくれませんか?
聞き間違い?かもしれませんから
なんか 言われてることが 
よくわからなくて・・・」





本当に理解ができなかった


ユノさん 何を言っちゃってるの?
ユノさんが好き過ぎて
とうとう俺は妄想夢でも見たんだろうか?


表情を一切変えずに
虚ろな目で立ちつくす俺に
ユノさんが困ったような顔をする





『チャンミン ごめんな
理解 できないよな
男にこんな告白されて戸惑うのも無理はない
だから 今は何も言わなくていい
チャンミンには 好きな人がいることもわかってるし
サリちゃんとつき合っていたわけだし
第一 そういう趣味じゃないこともわかってる
俺も 今まで女としかつきあったことはないし
そういうことも女としかしたことないし・・・』


「・・・」


『だから チャンミンを好きだって気づいてから
ずっとずっと 悩んでた・・・』


「・・・」


『ああ 俺何言ってんだろ?
今日 気持ちを伝えて
お前に気持ち悪がられて 離れて行かれても
仕方ないって思ってるよ

チャンミンのこと 大好きだけど
これで おしまいかもって
もう会えなくなるかもって
覚悟を決めて来たんだ

ずっと ”友達” でいなくちゃって思ってたけど
俺にはそれがどうも出来そうもない
嫌な思いをさせて ごめんな・・・』





俺から視線を外して上を向いたユノさん
天井を見つめるその目が光っているのは
もしかして 涙・・・?





ユノさんの綺麗な瞳が 
光って見えるのは涙ですか?





ユノさん
今 聞いたこと
夢じゃないんですね?


その綺麗な瞳を濡らしている涙で
ユノさんが言ったことが
冗談なんかじゃないって 
わかった・・・





「もう一度 言ってください・・・
もしかして 俺のことを好きって言いましたか?
お願いです
もう一度 言ってください」


必死にお願いをした


さっきの言葉が自分の聞き間違いでないなら
もう一度 聞きたいじゃないか?
俺が 夢にまで見たセリフなんだから・・・





『わかった 
最後にもう一度言わせてもらうよ

チャンミンが好きだ・・・

俺は チャンミンのことが大好きだよ
たとえ嫌われても
今 この瞬間もチャンミンが大好きだ』





目を合わせ
流れ落ちる涙を拭おうともせず
もう一度という 俺の願いを聞いてくれたユノさん





はっきりと聞いたその言葉は


俺が ずっと待ち望んでいた言葉


恋焦がれていた言葉


夢見ていた言葉


そして・・・


一生 聞くことはないだろうと諦めていた言葉


ああ これは現実なの?





じわりじわりと自分の目にも涙が滲んでくる





「ユノさん ありがとうございます
何から言っていいかわからないけど
俺 俺もユノさんが好きです!」





『・・・?』





「ずっと ユノさんのことが好きでした」





それだけ言うと 
俺は 情けないことに
その場にヘナヘナと座りこんでしまった





💛 💛 💛 💛 💛

95話にして
遂に2人の気持ちが通じました(涙)
見守る私も嬉しいです
エイプリルフールじゃないですからね♪



読んでくださりありがとうございます♪
応援よろしくお願いいたします♪



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