癒しの T-Garden 赤い海の旅人

紫色の誘惑 91

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ええいっ もうっ!


ユノさんが突然電話を?
何をそんなに急ぐの?


わけがわからないけど 
半ば やけになって覚悟を決めた


財布と携帯だけ小さいデイパックに入れ
スポーツブランドのハーフジャケットを羽織ると
俺は私鉄で新大阪駅に向かった





どうせバレてるんだ
家に行ったら いなかったのだから
ミノにでも聞いたんだろう
アイツ教えたな


電車の中でミノにラインを入れた
さっきのユノさんみたいに


「ミノ 俺に何か言うことない?」


なかなか既読にならない
メグちゃんとデートか?


仕方ないな
ユノさんに会ったら何て言おうかと考えながら
新大阪駅に向かう電車の車窓から外を眺めた





気が重い
ユノさん きっと怒ってる
うなだれて指定された場所に向かう


新幹線の改札にほど近い
タクシー乗り場はわかり易い場所だった





後ろ姿でも すぐにわかる
スタイルのいい長身の男性
黒いカジュアルな上下に身を包み 
リュックを背負ったユノさんがスマホを見ていた


相変らず カッコいいな・・・


その後ろ姿を見ただけで
熱くこみ上げてくるものがあることは


今 ここで胸の奥にしまおう





ユノさんまであと10メートルくらいのところで
一旦 立ち止まり
フーッと大きく息を吐いた


そして 少しずつ近づいていく


「お待たせしました・・・」


後ろから声をかける
ゆっくりと振り向いたその姿は


ああ 変わらない その瞳


『・・・』


ユノさんは無言で俺を見るが
その顔は怒ってはいなくて
何故か 
懐かしいものを見つけたときのように
アーモンドアイが 少し潤んだように見えた


2人の視線が絡んで
暫く言葉が出なかったし
回りの雑踏も全く耳に入ってこなかった


そう まるで この世に2人しか
存在しないかのように・・・








『チャンミン・・・』


先に口を開いたのはユノさんだった


『元気だった?』


さっきまでの電話が嘘のように
その声は優しくて
慈しみさえ感じさせた


「はい お待たせしてすみません」


本当は聞きたいことがたくさんある


どうして急に?とか
話って何?とか
誰に聞いたの?とか
どこまで知ってるの?とか
でも 言葉にならない


胸が詰まって
「お待たせしてすみません」 だなんて
そっけない挨拶
それだけ言うのがやっとだった


なんか 無駄に緊張する





『元気そうで良かったよ
心配したから』


「すみません」


向かいあって 少し下を向いたり
ぽつぽつと話す男2人は
よく見れば変な光景だったと思う


でも 初めてのデートに誘われた中学生みたいに
俺たちは ぎこちなかった





「あの・・・」


『あのさ・・・』


このまま ここでずっと
立ったまま話すっていうのもなんだし
どこかお店にと思って
声を発したのは 殆ど2人が同時だった


『ここじゃなんだからさ 別な場所で話そう』


「はい そうですね」


こういう場合って
じゃあ 俺のうちへとか
誘う方がいいのかな


それとも何処か
コーヒーでも飲みながら話せるところを探すべき?
夜だし お酒のほうがいいのかな?


あ でも大切な話なら 
お酒は入らないほうがいいに決まってるし
頭の中が一瞬にしてぐるぐると回る


そもそもユノさんの話って何だろう?
何で わざわざ新大阪まで来たんだろう?





『チャンミン』


「はい」


はっと我に返る


『ここの近くのホテルを取ったんだ
中のお店で話さないか?』


「はい 泊まりですか?」


『こんな時間に来て もう帰れないだろ?』


そりゃそうだ
つならないことを聞いてる自覚は十分にあった


タクシーに乗り込むと
ユノさんがホテルの名を告げた





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