癒しの T-Garden 赤い海の旅人

紫色の誘惑 90

紫色の誘惑10





『チャンミン 
今週末にでも 少し会えないかな?』


ほんの数日前 
そう言ってきたユノさんに


「週末なら」 と返事をしていた





丁度 本社に顔を出すことになっていて
出張予定が組まれていたから
土日も東京で過ごそうと決めていた


なのに
突然の電話





缶ビールを1本開けて
冷蔵庫から2本目を取り出そうと
ソファーから立ち上がったときだった


スマホが着信を知らせる


『チャンミン? ユノだけど』


「ユノさん どうしたんですか?
珍しいですね 電話なんて」


『そう? 今何処?』


「あ 家です」


『何処の?』


「えっ? 何処って 自分の家ですけど」


変なことを聞くな~と思っていたら


『ふーん そう
で? 何処の家?』


「えっ? 何処って・・・」


あっ!!!


ユノさんは俺の家の場所を知っていたのだ


あれは 初めて2人で海にドライブに行った日
俺の家まで迎えにきてくれて
帰りは送り届けてくれたんだった


つまり 家の場所を知っているということで
何処かと聞いてくると言うことは


もしかして


まさか 俺が住んでいたマンションに行ったとか?





サーっと血の気が引くような感覚に
手足まで 冷たくなった気がした


「あの・・・」


口ごもっていると


『チャンミン 家がいくつもあるんだ?
俺にも教えてくれないかな? 今の家』


口調に少し怒りを感じるのは
自分に 後ろめたい思いがあるからか・・・


ユノさんの言葉は 普段の雰囲気とは全く違う
とげとげしい言い方だった





「あの ユノさん?
何か 怒ってますか?」


『別に・・・』


いや 明らかに怒っているだろ?


「ユノさんこそ 今何処ですか?」


『チャンミン 俺に何か言うことないわけ?』


「・・・」


『俺 別に酔ってるわけでもないよ?
真面目に聞いてる』


「ユノさん・・・」


『今 何処の家にいるの? 
それとも
誰の家?って聞いた方がいいかな?』


やっぱり怒ってる


俺にはいつも優しいユノさんが
明らかに怒ってる


ここで冷静にならなければと言い聞かせた


「ユノさん どうしてそんなことを聞くんですか?」


さりげなく言ってみた


『話したいことがある 週末まで待てない』


「急ぎですか?」


『そう急ぐ だから今から会いたい』


「えーっ!!! 今からですか?」


マズイマズイ これはマズイ
なんとか ごまかさなければ


口の中が瞬時にカラッカラになるほど
俺は焦った


『家にいるんだろ?
なら ちょっと会えるよな?』


「あ・・・それが・・・」


『それとも 名前 変えたの?
表札が ”シン” になってるけど』


あ~あ
やっぱり 行ったんだ
俺のマンション


俺の名字はシムだ
名字が変わることなんてあり得ない


知っていてわざと聞いてくるのは
怒っているからだ





これ以上は隠せないと悟り
ふーっと大きく息を吐いた


「ユノさん 俺のマンションに行ったんですね?」


『随分冷たいんだな チャンミン
少しショックだったよ』


「すみません
今日は その 会えなくて」


今からなんて会えるわけがない


『少しでいいんだけど』


「それが その・・・」


『なら 新大阪の駅まで出てこれる?』


「えっ?」


今 新大阪って言ったよな?
なんでユノさんが?


まだ親以外には誰にも
住所さえ伝えていなかったのに・・・


『聞こえない? 新大阪なら来られるだろ?』


大好きな低い声


”近くにいるんだから 
来られないわけないよな?” という
無言の圧力をかけられて
有無を言わさぬ言い方に 
俺は 観念した


小さい声で 
「はい・・・」 と返事をした





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