癒しの T-Garden 赤い海の旅人

黒い瞳が邪魔をする 第三幕 24話

黒い瞳 第3幕





C side





来年 大学受験を控えた僕


学校でも そろそろ受験に向けての話も出ているせいか
見学の話をしたら 
キュヒョンは一発OKだった





”で? ユノヒョンは知ってるの?”


「何を?」


”チャンミナが行くことだよ”


「・・・言ってない」


”喧嘩でもした?”


「ううん そうじゃないけど・・・」


”水曜日じゃないってことはユノヒョンは授業かサークル?
まぁ 会えない日ってことだよな?”


「ん・・・まぁ そう」


”どうした? チャンミナ 何かあったんじゃない?”





部活もなく キュヒョンの塾もない日は
どちらからともなく誘いあって
色々な話をしながら帰るのが習慣になっていた


初めから気の合ったキュヒョンと僕は
自分のことだけでなく 家族のことなど
たくさんのことを安心して話せる貴重な間柄となっていた


キュヒョンは女のコみたいなところがあって
噂好きで情報が早い


そして危険を回避する能力と裏をかく能力が
非常に優れている 


何にでも先手を打つタイプだということが
今までのつき合いの中でわかっている


そして僕は
そんなキュヒョンをとても頼りにしているんだ





「別に何もないよ
ちょっとユノヒョンの大学を見てみようかなって思っただけ」


”ユノヒョンとは上手くいってるんだろ?”


「うん 凄く上手くいってる」


”あ~あ ノロケかよ?
じゃあ 何で急に大学を見てみようなんて考えたのさ
あっ そう言えば前にユノヒョンに
大学へ連れて行ってもらったって言ってたよな?
やっぱ おかしい・・・”


「あの時は休みの日で大学生もいなくて
いつもと違ったんだよ・・・
だから平日に雰囲気を見に行きたいなって思っだだけ」


”ふ~ん”


「なっ・・・何だよ?」


顔をぐぅ~んと近づけて
僕の表情から
何かを読み取ろうとしていることが明らかなキュヒョン





”チャンミンてばさー わかりやす過ぎ
なんか 心配ごとがあるんじゃないの?
俺に隠さなくてもいいと思うけどな”


帰り道にある公園のベンチに座り
ブランコで遊ぶ子供たちを見ながら
キュヒョンには敵わないな・・・と思う





僕は夏休みにユノヒョンが家に来たことや
妹のハナがユノヒョンに
少し気がありそうだということを話した


”なるほどね・・・で? なんで大学なの?
はは~ん わかった”


「えっ・・・」


”ユノヒョン 昔からモテモテだから心配になったんだろ?
ハナちゃんにまで言われて大学ではどうなんだろう?って
気になったんだろ?”


「・・・うん・・・」


”あははは チャンミン可愛い 可愛い可愛い可愛い”


「茶化すなよ」


”そんなことで悩んでるって
ユノヒョンが知ったら笑うんじゃない?”


「そうかな・・・?」


”まぁ でも好きな人のことは何でも知りたいし
気にもなるだろうから・・・
不純な理由でも構わないよ
つきあうから安心して”


「ほんと? ありがとう」


”ハナちゃんのことは気にするなよ
大丈夫だよ
まだ中学生だし”


「うん もう家には呼ばない
念のため」


”まさか自分のお兄ちゃんが
好きな人の恋人だなんて知ったら
ひっくり返るだろうな~
子供には絶対に言わない方がいい”


「うん・・・そうだね
キュヒョナはさ 彼女いないのに
どうして そうやって色々と人のことがわかるの?」


”お前 失礼だな〜 
俺様を舐めるなよ?
ハンバーガー 奢れ”


「えっ? どうしてそうなるの?」


”俺をバカにした罰”


「ごめん キュヒョナ 許して」


”わかればよろしい”





結局 キュヒョンにハンバーガーを奢ることになって
僕らは また1時間くらいお喋りをした


これじゃ まるで女のコ同士みたいだなって
苦笑いをしながら 


それでも僕はキュヒョンといる時間が大好きだった





”来週な・・・
ユノヒョン いるかどうかもわからないけど
素の姿を見たいってことだもんな
一緒に探そう“


「ありがとう キュヒョナ」


その日は
ハンバーガだけではなくポテトもコーラも
いつもより美味しく感じた





🌸 🌸 🌸 🌸 🌸 🌸 🌸 🌸 🌸 🌸

東京は桜が満開です🌸
昨日は仕事帰りに
近所の桜を愛でて帰ったのですが
たくさんの人がカメラを向けていました🌸
桜は風情がありますよね
日本の四季が大好きです🌸



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黒い瞳が邪魔をする 第三幕 23話

黒い瞳 第3幕





C side





夏休みが終わると
またいつもの日常が戻ってきた


僕は毎週水曜日にユノヒョンのマンションに向かい
ユノヒョンと・・・する





1週間が待ち遠しくて
毎晩ベッドの上で1人自分を慰めた





僕は男なのに


こんなにもユノヒョンに触りたくて


触られたくて


抱かれたくて・・・


もう ユノヒョンなしでは僕の人生は成り立たない





『絶対に成績を下げるなよ?
チャンミナのご両親に “もう行くな” とか言われたら
元も子もないからな』


「うん それだけは言われないように
僕 頑張るよ」


絶対に希望の大学に入って したい仕事をして
ユノヒョンとの関係も このままに
自分の足でしっかりと歩ける大人になりたいんだ





”ねぇねぇ お兄ちゃん
今度ユンホさんは いつ来るの?
友達がね 会ってみたいって言ってるの
ハナの言うような そんなイケメンなら
一度見てみたいって”


「ハナが会いたいんじゃないのか?」


”えっ? そ・・・そんなんじゃないよ
友達だってばー”


「怪しいな・・・
ハナ 残念だけどユノヒョンは忙しいんだよ
次は冬休みまで帰ってこないだろうし」


”ずるーい お兄ちゃんは毎週会ってるくせに”


「勉強も教えてくれるし
男同士の積もる話もたくさんあるの
それにさ ユノヒョンには美しい彼女がいるって噂 聞いてんだろ?
諦めるように その友達にも伝えといて」


”彼女がいるのに毎週お兄ちゃんの面倒見てくれるなんて
お兄ちゃん 相当可愛がられてるんだね・・・
彼女の邪魔しちゃってるんじゃないの?”


「彼女と会う時は行かないよ・・・
水曜日は彼女と予定が合わないんだって」


焦る・・・


咄嗟に嘘をついた・・・





ハナ・・・


少なくともヒョンに会ったときに
憧れのような気持ちは抱いたはずだ


顔を赤く染めていたのを僕は見逃さなかった


可愛い妹を傷つけないようにしないといけない


ハナに早く彼氏ができることを祈るしかない


そして ユノヒョンに会わせるのは避けた方が賢明だと
この時 強く悟った





ごめんよ・・・ハナ


ユノヒョンは僕の恋人だから
ユノヒョンが抱くのも僕だけだから・・・





カッコ良くて 優しくて モテモテのユノヒョン


ユノヒョンには常に女のコが注目していたことを思い出した


高校時代で あれだけモテたんだから・・・


大学生になって
ますますカッコよくなったユノヒョンを
女の人たちが放っておくわけないか・・・


ハナに言われたせいで急に不安に襲われた





もしかして 今も・・・女の人と一緒かもしれない


僕のことを好きなことは事実だし
それはユノヒョンと一緒にいれば自然にわかるけど・・・


女の方から寄ってこられる可能性は多分にある


よし!


今度 ユノヒョンの大学を見に行こう


大学受験に向けて
色々と大学も見ておきたいというのは本当のこと


秋には学校の創立記念日で一日休みがあるのをいいことに
ユノヒョンの通う大学を見学してみようと思い立った


大学なんて まだ未知の世界だから
キュヒョンにつき合ってもらって一緒に行けばいいんだ





早速 明日 キュヒョンに話をしてみよう・・・


大学という 自分の知らない世界に身を置く
ユノヒョンの姿を見ることが
楽しみでもあり また少し不安でもあった





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黒い瞳が邪魔をする 第三幕 22話

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黒い瞳が邪魔をする 第三幕 21話

黒い瞳 第3幕





Y side





体育館は鍵がかかっておらず
重たい扉は簡単に開けることができた


ムッとした熱風が俺たちを取り囲む





誰もいない体育館の真ん中まで走っていき
大きく手を広げて深く深呼吸をした


ああ ここで幾度となく体育の授業や部活の筋トレをしたっけ・・・


そして去年 チャンミンに出会ったんだ


正確に言うと出会ってしまったんだよな・・・





「ヒョン 懐かしいですか?」


『ああ 何か月か前まで ここにいたなんて嘘みたいだ』


「僕は見飽きてますけど・・・」


『こっちきて ほらっ お前も深呼吸してみろよ
気持ちいいぞー』


何度も何度も目を閉じて深呼吸をすると
あの時のチャンミンが蘇る





少しおどおどした感じの見たことない新入生


他にもたくさんの1年生がいたというのに
お前の回りだけ光り輝いていて
ダイヤモンドの原石を見つけてしまったみたいな
不思議な感覚に陥ったことを
今も はっきりと覚えている





俺のマネして深呼吸をするチャンミン


汗をかいていても美しい


俺はここでチャンミンに出逢えたことを神に感謝する





「ヒョン 暑いだけです」


『お前なぁ ここは俺にとって大切な場所なの
もう少し つきあえよ』


俺はチャンミンの手を引いて
前方のステージに行き 
真ん中に2人並んで腰かけた


足をブラブラさせる仕草も可愛いな・・・





『思い出さない?』


「えっ・・・?」


『ここで初めて お前に出逢った・・・』


「あ・・・キュヒョンの先輩」


『何か おどおどしてさ
弱弱しい見た目だったけど
俺さ 一目見て
チャンミナの言いようのない美しさに惚れたんだと思う・・・』


「・・・ヒョン・・・」


『だって お前 光ってたぞ!』


「あ・・・汗かいてたから・・・」


『あははは 違うって
お前だけが他の奴らとは全く違って見えたってことだよ』


「ヒョン・・・」


『多分 あの瞬間にはもう お前に惚れちゃってたんだと思う・・・』


「・・・」


『今だから言えるけど その日の夜から
女の子が全く目に入らなくなった・・・』


「僕は・・・先輩が怖くて・・・
ヒョンに なんか睨まれてるんじゃないかって
キュヒョンに相談したりしちゃって・・」


『マジ? 俺 そんなに怖かったかなぁ・・・』


「怖かった・・・
高校生になったら彼女を作りたいって思ってたのに
睨まれたらどうしようって」


『聞き捨てならないな・・・』


「でも・・・」


『でも?』


「僕も 気になっていたんだと思う
ヒョンのこと・・・」


『・・・』


ヤバいくらい嬉しい





『チャンミナ』


思わず引き寄せて
ぎゅうっと抱きしめた


「ヒョッ・・・ヒョン」


逃すもんか


『じっとしてて・・・
卒業した今もこうして一緒にいられて
なんか夢みたいだ・・・』


「ヒョン・・・僕も
ユノヒョンのそばにいられて
凄く 凄く嬉しいんだよ」





『チャンミナ・・・』


身体を離して向き合い
可愛い両頬を包んで間近で見る


俺を見る大きな瞳はウルウルして
そんな瞳を見るだけで
胸の奥から じわ〜っと幸せが湧き上がるようだ





少し陽が落ち始め
外の景色がオレンジ色に染まる頃
俺たちはステージに座ったまま


そっと唇を重ね合わせた





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黒い瞳が邪魔をする 第三幕 20話

黒い瞳 第3幕





Y side





懐かしいな・・・


素直にそう思う


いつもなら 夏休みでも
グラウンドには 夕方まで部活の生徒の元気な声が
響き渡っているはずだ


でも 何故か今日は静かだった





”ユノ お前 卒業してから来た?”


『いや・・・初めてだ 変わってない』


「そう言えば 夏休みは先生方は何かの会議で出張があるって言ってました
ちょうどその時期かも・・・
だから部活もないんだと思います」


在校生のチャンミンが
その事情を知っていた


『ああ そっか・・・
毎年そんなことあったっけ
じゃあ 校内も もう静かだな きっと』


”先生いないと残念だけど
ちょっと入ってみるか?”


『いいな 入ろう』


部活もない夏休みの学校内は静かだった





入口で用務員のおじさんに挨拶する


”君たち 確か卒業生? 
あ チョン君にイ君・・・
覚えてるよ・・・人気者だったからね・・・
今日は生憎先生方は殆ど不在なんだよ”


用務員さんは懐かしそうに俺を見た


「ちょっと先輩たちと一緒に
教室とか見て回ってもいいですか?」


”シムくんじゃないか いいよ
帰りに また声をかけてくれ”


「はい じゃあ行ってきます」





現役高校生のチャンミンの信用で
俺たちは校舎の中を
ゆっくりと見て回ることができた


『あー これこれ懐かしい まだあるぜ』


”何々?”


ここは3年生の教室


そう 今年の春まで俺がいた教室だ


チャンミンは2年だから
まだここに入ったことはないはずだ


ウキウキと近寄ってきたドンへの表情が固まる


”えっ・・・こっこれ・・・”


『お前なぁ こういうことしてるから
勉強に身が入らなかったんじゃないの?』


ドンへは希望の大学には入れず
少しランクを下げたところで手を打ったのだ


ドンへが使っていた机


「あっ ドンへさん
こんなこと書いていたんですか?」


”わーわーわー 見るな見るな チャンミンまで”


慌てて手で隠そうとしたのは
カッターで掘った落書き


俗にいう相合傘ってヤツ・・・


ドンへ & スヨン


ドンへに卒業時彼女がいなかったことを知っている後輩に
この人にフラれましたって言ってるようなもんじゃないか・・・


ほんとにコイツは・・・





真っ赤になるドンへ


『スヨンちゃんよりも可愛い子 大学にいないか?
焦らずに探せよ
お前の良さ きっとわかってくれるコいるからさ』


”ユノはいいよなー
片思いとか したことないんだろ?”


『チャンミナには片思いになるかと思ったけどな』


俺が座っていたという席に
さっきからずっと座りっぱなしのチャンミンが
チラッと俺と目を合わせる





「ユノヒョンは ここで授業を受けていたんですね」


”チャンミナ 机なんて変わってるかもしんないぞ”


「そうですね・・・
えへへ でも嬉しいんです
ヒョンがここでこんな景色を見ていたんだなって思って」


隣りに腰を下ろす


『チャンミナも 来年はこの教室を使うかもしれないな』


「うん ユノヒョンと同じ席がいいな」


少しだけ開いていた窓から
夏の香りを纏った生暖かい風が
俺たちの身体を掠めていく





『なんか いいな・・・高校生』


少しふんわりとした髪を撫でれば


「もっと一緒に通学したかった」


『すぐに追いつくさ』


「大学生は大人だね・・・
僕は まだ子供だ」


『後1年ちょっとで大学生だろ?
そうしたら同じだよ・・・
早く大学生になれ
待ってるから・・・』


「そうだね ユノヒョンに追いつくために
一生懸命勉強しないと」


俺を見て微笑むチャンミンの髪から頬へと手を移動させた





”はい そこまでー”


『・・・!』


「・・・!」


”お前ら またイエローカードだ 
俺がいること忘れてるだろ?
このまま放っといたら
ブチューッって おっぱじめるつもりだったな”


教壇に立って
黒板に置いてある棒で俺たちを指して睨むドンへ


『ああ その通りだよ お前 邪魔』


「ユッ・・・ユノヒョン!
ドンへさん そんなことないです」


”チャンミナ~ 気を付けろよ?
美しい小鹿を襲う獰猛な虎が
このあたりにいるらしいから”


「・・・」


またまた赤くなるチャンミン・・・


このまま抱きしめて食べてしまいたい





そのときドンへのスマホが音を立てた


”あー悪い ユノ 母ちゃんに買い物頼まれた
悪いけど先に帰らせてもらうわ
また 連絡する
じゃあ チャンミナ 元気でな?
また冬休みにでもキュヒョンも呼んで4人で会おうな~”


そそくさと教室を出ていった


『アイツの家は姉弟が多くてね
食料が足りないと 
すぐにドンへが買い物を頼まれるんだ
迫力のあるお母さんには頭が上がらないらしい』


くすっと笑うチャンミンの笑顔の威力たるや・・・


何処かへ連れ込みたい





『チャンミナ 他も見て回ろうぜ』


「はい」


ドンへが帰ったのをいいことに俺はチャンミンの手を取る


一瞬 ビクッと震えたけれど そうっと握り返してきた


繋がれた この手から伝わる温かさ


理科室や家庭科室など懐かしい教室を
2人で手を繋いだまま覗いて回った





殆どの教室には鍵がかけられていて中には入れず
体育館へ向かった


俺が初めてチャンミンを見た あの体育館だった・・・







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黒い瞳が邪魔をする 第三幕 19話

黒い瞳 第3幕





C side





「お久しぶりです ドンへさん」


”おー チャンミンじゃないか~
なんか益々可愛く綺麗になってね?”


「えっ? そう・・・ですか?」


『当たり前だろ? ドンへ』


”ハイハイ ご馳走さま
相変らずユノは はっきり言うねー
いいな ラブラブで”


「ドンへさん ラブラブって・・・」


”わっ ごめんチャンミン
そんな赤くならなくても・・・
いやっ マジで?
わー ユノどうすんの?
ヤバいくらい可愛いんだけど・・・”


『あのね お前ほんとウルサイ
せっかく呼んでやったのに・・・
チャンミナが可愛いのは今に始まったことじゃないだろ?
世界一可愛いし綺麗なの』


「もう ユノヒョンまで・・・
恥ずかしいから言わないでよ
僕 男なんだし」


それでなくても 30度を軽く超える夏


汗っかきの僕はタオルが欠かせないのに
こんな恥ずかしいことばかり言われたら
もう沸騰しそうだ


僕たちのことを知っているのはドンへさんとキュヒョンだけ・・・





『可愛いからさ
俺が付いていないと変な虫が寄ってくるだろ?
俺から離れるなよ?
さ 行くか?』


ユノヒョンは僕の手を握ったんだけど
こんな明るいうちから ちょっとそれはマズイかなって
スッと手を引いた


ユノヒョンは少し怪訝そうな顔で僕を見ると


『悪いな・・・』


気づかなかったよという感じで目くばせされた


本当は 僕だって手を繋ぎたいんだ


ドンへさんだけなら いいんだけど
学校の近くでは誰に会うかわからないから・・・残念





この地域の夏祭りは日本風なところがある


地域のおじさんたちが日本に旅行したときに行ったとかで
韓国にはないようなお店も並んでいたりして興味深い


ユノヒョンは前に来たことがあるんだって


以外と知られていないからデートには最適なんだって
自慢気に話す


ドンへさんもいること忘れないでね・・・





屋台の食べ物もトッポギや韓国風おでんだけではなかった


食いしん坊の僕は
実は日本の食べものを結構知っている


『チャンミナ 日本に旅行したことあるんだろ?
たこ焼きって美味そう』


「うん 美味しいよ
僕 もう一度食べたいって思ってたんです」


”わっ たこ焼きって何? 俺も食べたい”


食いしん坊の僕は一皿なんて軽いけど
初めて食べるユノヒョンとドンへさんは
口に合うかどうかがわからないからと
2人で一皿を買った


ソースの香りが夏の熱い風に乗って食欲をそそる


『美味いな』


”うん 美味い 俺 もう一皿イケそうだよ”


良かった~ 気に入ってくれて・・・


僕も もっと食べられそうだったけれど
あまりの暑さにパッピンスを食べることを提案した


勿論僕はトッピングもたくさん


3人で食べると何でも美味しかった


僕達は 暫く話をしながら ブラブラと歩いて回る


ドンへさんの大学の話が面白くて
相変らず彼女ができないって嘆いていて・・・


ドンへさん 良く見るとハンサムなのにって少し可哀相に思った





『そうだ 学校覗いてみないか?』


”おー!いいね 誰かいるかな?”


卒業してから一度も高校に顔を出していない2人は 
凄く嬉しそうに意気投合して僕を連れて行った


僕は毎日のように通ってるんだけど
ま・・・夏休みだからいいか・・・





歩きながらユノヒョンは
僕の耳元に口を寄せて


『3人でいれば誰も何とも思わないだろ?』


ありがとう・・・


ドンへさんには悪いけど
2人っきりでいるところは あまり見られたくないし
何を言われるか わからないから
ユノヒョンの気遣いが嬉しかった


キュヒョンも来れれば良かったのにな・・・





つきあう前の2人なら平気で歩けたけれど
今は何となく
僕とユノヒョンの間に流れる空気が違う気がして


ドンへさんがいてくれることが本当にありがたかった


早くドンへさんに彼女ができますように・・・


心の中で お祈りをして学校の門をくぐった





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黒い瞳が邪魔をする 第三幕 18話

黒い瞳 第3幕





C side





ユノヒョンは夏休みに入っても帰っては来なかった


それどころか僕も
バドミントンの練習や試合
模試などで忙しく
水曜日だからと言って逢えるわけでもなく


夏休みに入ってからは
すれ違いが続いた





8月に入り
蝉の鳴き声も絶好調にうるさくなった頃


ユノヒョンが やっと帰って来た


でも 1週間で また戻っちゃうんだって・・・


結局 ユノヒョンの帰省とう家の家族旅行が重なり
せっかくの夏休みだというのに
1回しか逢えなかった


でも その1回が
僕にとっては忘れられない楽しい想い出となった





”ユンホさん いらっしゃい”


『お邪魔します』


”大学生になって益々好青年になったみたいね
いつもチャンミンがお邪魔しちゃってごめんなさいね”


『いえ チャンミンは高校のときからの可愛い後輩なんで
全く問題ないですよ
僕の友達やチャンミンの友達も一緒に出掛けたこともあります』


”本当にありがとうね
今日は暑いから冷麺にしたけどいい?”


『はい 大好きです』


”良かった”


母さんの用意した冷麺は
いつもよりも豪華な具材で見た目も綺麗だったせいで
テンションが上がり
僕もいつもより たくさん食べてしまった


まぁ テンションが上がったのは
隣にユノヒョンがいるからっていうのもあるんだけど・・・





妹のハナは初めて会うユノヒョンに緊張して


”わっ 想像していたよりもずっとカッコイイ・・・”


もう既に目がハート


頬も ちょっと赤くなってるし・・・


冷麺を食べながら
チラチラとユノヒョンを盗み見る妹は
緊張していたせいか
全部食べ切れずに少しだけ残していた


「ハナらしくないな 残すなんて・・・」


”ユンホさんみたいなイケメンさんが目の前にいたら
大好きな麺も喉を通らないんじゃないかしら?”


”ちょっと お母さん”


”学校には頼りがいのある素敵な男子がいないそうよ?”


”ホントにやめて”


真っ赤になってぷりぷり怒ったハナに


『ハナちゃんは可愛いから本当は彼氏いるんでしょう?』


なんて誰かさんが
これまた優しく話しかけるから
余計に赤くなって


”いません” 


ぷいっと席を立った


「こらっ ちゃんと食べないのか?」


”これから部活”





自分の部屋に荷物を取りに行っている間に
少し落ち着いたのか制服を着て
ダイニングに ちょんと顔を覗かせた


”ユンホさん また来てくださいねー”





慌てて席を立ったユノヒョンは 


『ハナちゃん 行ってらっしゃい
気をつけてね』


”行ってきまーす”


満面の笑みで出かけて行った


ユノヒョンが玄関まで光の速さで出て行き
お見送りなんてしちゃうもんだから


”あらあら あの子ったら
ユンホさんに一目惚れでもしたみたいね”


『光栄です』


”ユンホさんには美しい彼女がいるんだって聞いてるわ
ごめんなさいね
ハナはまだ中学生だから許してやってね”


『許すも何も あんなふうに言ってもらえて嬉しいですよ』


本当にユノヒョンは上手なんだから・・・





でも ハナがユノヒョンに・・・?


母さんの言葉が気になった


いや ないない


見たことないようなイケメンが来たから面食らっただけだ


中学生から見たら大学生は
かなり大人に見えるだろうし・・・


ハナの奴 意外に面食いなんだな


そう言えば最近人気だとかで 
部屋に10代のダンスグループのポスターを貼っていたっけ


ふふふ


ユノヒョンはダメだからな


僕の気持ちは これっぽっちも揺れなかった


全く不安にも ならなかった


どんなに綺麗な女性がユノヒョンに近づいても
今の僕はユノヒョンの一番だという自負があった





ハナ・・・ごめんよ


いくら妹でもユノヒョンだけはお前にやれない


何を失っても譲れないんだ・・・


だいたいこの人は誰にでも優しいから
女性は すぐに勘違いするんだよ


1人 もくもくと冷麺を頬張っていたら
ユノヒョンが口を開いた





『あの・・・これから
チャンミンをお借りしてもいいですか?』


”今日?”


『ええ・・・学校の向こうで お祭りがあるんです
高校のときの同級生たちも来るんで
チャンミンも連れて行きたいんです
明日には大学に戻らないといけないので』


”そうなの? 忙しいのね・・・
あまり遅くならないなら いいわよ”


『やったー ありがとうございます』


「ユノヒョン?」


『ごめん言ってなかったっけ?
ドンへも来るよ』


「ドンへさん? わぁ 久しぶりだなぁ」


突然のユノヒョンの誘いで
僕たちは一緒に
夏祭りに出かけることになった





☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

東京もマンボウが明けましたので
お友達と会う計画なども立てました
5月に入れば東方神起の2人も日本にやって来ますね!
何と兵役の時よりも長い期間
日本に来ることができなかったんですね~
少し緊張するけど
ファンイベ 楽しめるといいな♪
(当たる気 満々です!)



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黒い瞳が邪魔をする 第三幕 17話

黒い瞳 第3幕





C side





毎週水曜日にユノヒョンの家に行き
2人だけの時間を持つことが
僕の生活のリズムに組み込まれてから


2 か月ほど・・・





もうすぐ夏休みという
試験も終わったある晩のこと


家族で晩ご飯を食べている時
夏休みの話題になった


”チャンミン 合宿はいつなの?”


「えっ?」


”バドミントン部の合宿よ
今年も行くんでしょう?”


「あ・・・そっか
多分去年と同じとか言ってたような」


”確認してらっしゃい”


「そだね わかった 明日聞いてくる」


”そうしてね
その予定を避けて家族の旅行を決めるから”


「・・・」


”来年は受験生でしょう?
今年は家族全員で何処か行きたいなって考えてるのよ
もう なかなか行けなくなっちゃうだろうし”


「そうだね・・・」





そう言えば
まだ何も知らされてなかった


夏休みの練習予定とか聞いてこなくちゃ・・・





「コレ 美味しいね」


母さんが作る料理は どれも美味しかった


口いっぱいに頬張っていると


”そうそう チャンミン
今度 ユンホさん 呼んでいらっしゃいよ”


「えっ・・・?」


突然 母さんの口から出たユノヒョンの名前・・・


誰かが その名を声に出すだけで


ドキッとして動揺してしまう・・・


”あなた 毎週のようにユンホさんのところに
遊びに行ってるでしょう?
いくら仲が良くてもねぇ・・・
夏休みはユンホさんも帰って来るんでしょう?
予定が合ったら家にご飯でも食べに来てもらったら?”


「そうだね・・・聞いてみるよ」


”お兄ちゃん 聞いてみるよ ばっかり」


「うるさいなぁ・・・
だって本当に聞かなきゃわからないだろ?」


”そだけどさ~
ねっねっ お兄ちゃん
ユンホさんて めっちゃ格好いいんでしょう?”


「ん・・・まあね」


”凄くモテるんだよって友達が言ってた
そのコのお姉さんね 高校の時 ユンホさんにフラれたんだって
ユンホさん 物凄い美人しか相手にしないんだってー”


「へ・・・へェーそうなんだ?」


”もうっ 何とぼけてんのよ
お兄ちゃんなら知ってるでしょう?
こんなに仲がいいんんだから
ユンホさんの彼女って どんな人なの?”


「知らないよ・・・そんなの」


”何よ 嘘ばっかり言って
知らないわけないでしょう?
去年からずっと仲良くしていたくせに
それとも・・・あっ ふふふ わかったー”


「何だよ?」


”お兄ちゃん 教えてもらってるんでしょう?”


「何を?」


”女のコの口説き方とか デートのポイントとか
アレの仕方とか決め顔とかさ 色々”


「ぶっ 何だよ? 突然変なこと言いだすなよ」


父さんは まだ帰宅していないけれど
母さんの前で変なこと言うのは止めてくれ


”お兄ちゃん 結構いい線行ってると思うし
悪くないと思うんだけどなぁ・・・
告白とかされてたよね?
でも 彼女いなさそう”


ハッキリとモノを言う妹は2歳年下


母さんも妹も そりゃあ興味があるだろう


僕に浮いた話がまったくないもんだから尚更だよね


「悪かったな・・・
なかなか合うコがいないんだよ
人のことはいいから さっさと食べろよ」


”はーい”


顔から火が出るかと思った・・・





まさか 自分たちの目の前にいる
この僕がユンホさんの本当の恋人だなんて
母さんも妹も露ほども思っていないだろう


この界隈や近所の女子高校生の間では有名なユノヒョン





ユノヒョンは僕には特別に優しいんだぞって
本当は言いふらしたい気分だよ


それができたら どれだけいいか・・・


これからも色々聞かれるんだろうなって思ったら
2人の顔を見て憂鬱になり
聞こえるか聞こえないかの小さな溜息が漏れた





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黒い瞳が邪魔をする 第三幕 16話

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黒い瞳が邪魔をする 第三幕 15話

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