くせ 75
修学旅行の想い出話を聞きながら
ユノのお土産を食べる時間が好きだ
『チャンミンはさ 沖縄行ったことある?』
「あるよ
東方高校は昔から 修学旅行が沖縄だったの」
『そっかー そうだよね
同じ高校だもんね
じゃあ 話すこともないか』
「僕が行ってから17年経ってるんだよ?
中身が違うんじゃない?」
『そう?』
「そうそう ホテルだって新しいだろうし
僕は那覇周辺だけで北部には行ってないしね
だから色々聞かせてよ
ユノ達の旅行のことが聞きたいよ」
事前にスケジュール表などは渡されていたから
ユノが今 何処にいるのか?
今日はどのホテルに泊まるのか?
おおまかにはわかっていた
沖縄の綺麗な海を見て
ユノは何を感じたのだろう・・・
ユノが置いて行った家族用の栞には
戦争に関することにも触れる時間あり
沖縄ならではの綺麗な海に入る時間もあり
夜はホテルで沖縄料理のビュッフェがあり
大型バスをチャーターして
有名な ”美ら海水族館” に向かうなど
一緒について回りたくなるような旅程内容だった
街中での行動は
男女半々の数人ずつで編成された班ごと
どのお土産屋さんに入ろうか?
お昼は何処で食べようか?
ワイワイ騒いでいる光景が目に浮かぶ
若いって素晴らしいなあ
スマホに収めた数々の写真を
ユノが見せてくれた
みんなキラキラしていた
写真には班の女の子も一緒に写り
ユノにピタリとくっついていた
当の本人は 意に介さずといった感じで
隣りが男子だろうが女子だろうが
どの写真も とても楽しそうだった
『コイツとコイツがデキててさ
すぐに別行動しようとするんだよ
バレるんだから止めとけって言ってるのに』
「そういう2人 もっといたんじゃない?
他のグループでも」
『うん やっぱいたよ
夜こっそり抜け出してるやつとか・・・
他のクラスのサッカー部の奴が言ってたけど
部屋を使いたいから協力してくれって言われたらしい』
「そっか・・・勇気あるね」
『さすがに断ったって言ってたけど
貸してたらとうなってたか・・・
マジ 迷惑』
「まぁ 旅先でいつもと違うムードで
そうしたくなっちゃうんだろうね」
いつの時代も男女間のあれこれは
変わらないみたいだ
『ねぇ チャンミン』
「ん? なあに」
スイカを食べ終えたユノが言った
『俺 また 女の子の誘い 断っちゃった』
「一度じゃない だろ?」
『うん 中学の時のサッカー部のマネージャーでミヨンっていたの
覚えてる?』
「覚えてるよ
デートしてたよね」
『そうそう あのミヨンがさ
実は東方高校なんだ』
同じ中学出身者が数人はいると聞いていたけれど
まさか ミヨンちゃんが・・・
「もしかして ユノを追って?」
『いや それは違うと思うんだけど・・・
俺 受験校は自分からは言ったことないし
んーでも知れ渡るものなのかもしれないけど
まあ ミヨンは成績良かったから偶然かもしれないけどね』
「で まさか またミヨンちゃん?」
『うん ミヨンも・・・』
あ・・・複数なんだね・・・
「本当に ユノはモテるんだね」
『モテるって言うのかわからないけどさ
修学旅行の間にも数人から
”つき合って?” って言われた
チャンミンには言っとく
あ でも 俺 今はそういう気になれないからって
全部断ってるから』
「ユノは 好きな子 いないの?」
直球で聞いてみた
『いるよ?』
「え? いるの?」
”いないよ 別に” という返事を想像していた僕は
妙に驚いてしまった
『チャンミン』
「ぶっ ふざけてないで」
『ふざけてないよ
俺はさ チャンミンがいればそれでいいの
前から言ってるじゃん
女子は面倒くさいんだよ』
「そ そうだったね・・・」
平静を取り繕ってはみたものの
何故か 僕の心臓は激しく動いていた
ユノは やっぱり女性に興味はないのだ
だから 恩人である僕への感謝のつもりで
あんなことを言うのだ
わかってはいても
どんどん熱く火照る顔を隠しきれなくて
席を立った
冗談でもだめだよ ユノ・・・
冷蔵庫から冷えた水を取り出し
がぶがぶ飲んだ
『チャンミンは いたの?
高校の時 つき合っている女子とか・・・』
「い いたよ そりゃあ・・・
短い間だったけど 一人つきあったよ」
僕は 嘘をついた
『そうか・・・いたんだ』
ユノが静かに言った
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