くせ 9
「ユノ 良かったね
ドンヘ君とまた遊べるよ」
『うん』
大人しく僕に手を繋がれている2人の小学生が
歩きながら お互いをチラチラと気にしている
仲直りしたあとの ほんの少しの気まずさや照れの表れなのか・・・
子供なりに色々な感情を抱えているんだなという
初めて知る思いと
ユノの少しの変化にも気づける親でありたいと
身の引き締まる思いがした
そういえば 養子縁組の申請手続きのときに
ちょっとした研修会のようなものがあって
その時に子供の変化を見逃さないよう
注意深く見ていてあげることが大事だって
言われたことを今更ながら思い出した
「明日の昼休みもサッカーで遊ぶのかな?」
『うん』
”うん”
2人が同時に返事をした
背の高い僕は上を向いていれば
ユノやドンへ君から表情を見られることがない
2人の返事に気を良くした僕は
高い空を見上げて一人微笑んだ
「男の子の間では サッカーと野球とどっちが人気あるの?」
『サッカーだよ』
”サッカーだよ”
これまた
2人がハモるように同じ答えを口にした
「そっか サッカーが人気なんだね」
どうやら クラスの男の子にはサッカーが圧倒的人気らしい
楽しく歩いている時に
一つ気づいたことがある
僕が ドンへ君に話かけると
左手を握るユノの手の力がぐっと強まるのだ
まるでヤキモチを妬いているかのように
僕の手を離すまいとぎゅうっと握る
その手の平は少ししっとりとして
ユノの体温を感じさせた
どんなに小さなことでも
ユノが不安にならないように
僕は握ってきた可愛い手をぎゅうっと握り返した
大丈夫 僕チャンミンは ユノだけのパパだよ
そう言わんばかりに・・・
子供たちの帰宅を促す音楽が街角に流れ始めた頃
”あ お母さん”
ドンへ君が大きな声を上げた
そして あと十数メートルというところで
僕の手を振りきって お母さんのところに走って行った
弁当屋 HOTHOT の丁度裏手にあたる一軒家がドンへ君の家だった
ドンへ君の帰りを心配したのだろう母親が
家の外に出てきていたのだ
「こんにちは」
”こんにちは”
保護者会で見かけたことのある母親だった
同じクラスのユノの父親だと名乗り
ドンへ君が転んで膝を擦りむき
痛そうだったので送ってきたことを伝えた
”わざわざ ありがとうございます”
「どういたしまして」
大人が挨拶をしていると
いつの間にか ユノとドンへ君が2人で話をしていた
ドンへ君の母は
”ドンへが 何か失礼なことを申し上げませんでしたか?”と
突然 心配そうに聞いてきた
どうしようか迷ったけれど
一応話しておいた方がいいと判断し本当のことを話してみた
「僕が 本当の父親じゃないと言われたようで
そのことでユノが沈んで帰って来たので・・・
僕はその場にいたわけではありませんので
誰が言ったのか 本当のことはわかりません
他にもお友達が何人もいましたから・・・
ただ 過保護かもしれませんが
まだ3年生ですし 少し気になって公園に行ってみたんです」
”ドンへが言ったんですね”
「ユノはそう言ってますが・・・真相はわかりません」
”申し訳ありません”
「あ ドンへ君には 僕からはそのことについて何も言っていません
またユノと一緒に遊んでほしいとお願いしました
そうしたら 快く うんと返事をしてくれましたよ」
”そうですか”
「僕が本当の父親でないことは事実です
年も 他の父兄の方々に比べると随分若いと思いますが
両親を事故で無くしたユノの父親になった以上
一生懸命育てていきたいと思っているんです」
ドンへ君の母親は 神妙な面持ちで聞いてくれた
「小学生には わからないこともあるでしょうし
正直いって そういうことを言うのも仕方のないことだと思っています
ですから もしドンへ君が言ったのだとしても
怒らないでやってください
血は繋がってないけれど父親だし
おかしなことではないんだと
そのうちわかってくれると信じています」
”私が軽率でした
こどもの前で
本当のお父さんとは思えないくらい若いと言ってしまったので
事情は存じ上げていたはずなのに すみませんでした”
「いえ そう思うのも無理もありません
僕は子供たちが仲良くしてくれたらそれでいいんです
ユノも ドンへ君が大好きみたいですから
どうぞこれからも うちのユノと仲良くしてやってください
片親ですが 精一杯
親の役目を果たしていきたいと思っていますので
また ユノと遊んでやってください」
僕は ユノのために丁寧に頭を下げた
父親の評判がいい方がユノにとってもいいはずだから・・・
仲良く家の前にしゃがみ込んで アリを見て遊んでいた2人を
ドンへ君のお母さんが温かい目で見つめた
”今 ドンへの父親は単身赴任で
たまにしか帰って来ないんです
だから 若くてカッコいいお父さんがいるユノ君が
羨ましかったんだと思います”
そう言って ハッと口を押えた
”カッコいいとか すみません
親子というより お兄さんみたいだなって思ったものですから・・・”
「そう言っていただけて光栄です
これからもどうぞよろしくお願いいたします」
笑顔でお礼を言った
トラブルという程のことでもないけれど
ユノが傷つくことだったし
その相手の親が
ドンへ君のお母さんみたいな人で良かったと思った
テレビで観た モンスターペアレントみたいな人だったらどうしよう?って
実は少しドキドキしていたんだ
うちの子がそんなこと言うはずありません!とか
ユノ君の作り話じゃないですか?とか
とんでもない言いがかりをつけられたときには
僕も対処の仕方がわからない
ドンへ君の家からの帰り道
張っていた気が抜けたようにドッと疲れが出た
「ユノ 喉 乾かないか?」
『乾いた』
「ジュース 飲もうか?」
『いいの? 飲みたい』
「よしっ! じゃあ ジュースを買いに行こう!」
『うん!』
手を繋いで近くのコンビニに入り
ユノはりんごジュース
僕は冷たいアイスコーヒーを買った
さっきまで 子供たちの声が響き渡っていた公園のベンチに腰を下ろし
一緒に喉に流しこんだ
夕焼けが綺麗になりそうな 初夏の空だった
🎃 🎃 🎃 🎃 🎃
今日はハロウィンですね👻
家の近所でも仮装した子供たちをたくさん見かけました🎃
子供会や小学校でもイベントがあったようです
SMのパーティーも今年はないですねぇ〜
↑事務所ですよん😝知ってますよね〜
SM😅
応援ありがとうございます~♪
↓
にほんブログ村