癒しの T-Garden 赤い海の旅人

紫色の誘惑 32

紫色の誘惑12





ユノさんは 本当にボウリングが上手で
ストライクを何度も出すから その都度 見惚れてしまった


ストライクを出した後のポーズが
何ともカッコよくて 親指を立ててサムズアップ!


ああ やっぱり カッコいい
ハグされたときに俺が固まったからか
その後は
ハイタッチでしか触れてこないけど
気づけば
”チャンミン” って呼ばれていた


サリーも ”サリちゃん” になっていて
お互いの距離が 少し縮まったような気がした


もう一度 ハグしてくれてもいいんだけど
ううん
俺からも していいかな?


でも アッコさんやサリーの目もあるから
できないか・・・


そこまでの勇気は まだない


ユノさんにはアッコさんがいるのだからと
少し遠慮気味にゲームを消化していく





”チャンミン どう?
おっ? すげーじゃん
えー? 何々? このチーム”


様子を見に来たミノが
チーム得点の高いことに驚いていた
優勝すれば 
有名なイタリアンレストランのお食事券をペアでGETできる


食いしん坊な俺は それが楽しみでもあった





『ほら 次 チャンミンだよ?』


ミノと話している俺に
ユノさんが順番を促す


”いいなあ チャンミン 
ユノさんと親しくなれて”


ミノが羨ましがる


そういうミノだって


”おーい 次 誰だー?
ミノー 順番だよー” って
ドンヘさんの声


いつの間にか
呼び捨てにされていた


ミノに羨ましがられて
少し舞い上がった俺は
ユノさんが選んでくれた 紫色のボールを
手に取った


そう 経験者のユノさんが
ゲームの前に 選んでくれたのは


”はい チャンミンさんはこれを使って?”


紫色のボールだったんだ


サリーには やはりグリーンで
ユノさんて面白いな


ユノさん アッコさん サリー
3人から 応援されて
最後の 10フレームに臨む


ユノさんとアッコさんのおかげで 
優勝は決まっているようなものだけど
最後は またストライクを出して
ユノさんにいいところを見せたい


そして ハグされたい


しちゃおうかな?


どうせ ユノさんにはアッコさんがいる
男である俺の 思いが届くことはないだろうから・・・


ならば 少しでも楽しく傍にいたい
今日は 途中からそんな風に思えていた


男同士がハグしたところで 誰もおかしく思わないもんな
よしっ! 頑張るぞ


『チャンミン ファイティン!
最後のフレーム ストライクな』


「はい 頑張ります」


初めて ユノさんを見て笑えた
にっこりと 微笑むことができた


ユノさんは 少しびっくりしたような表情を
一瞬だけ 浮かべたけれど
すぐに 親指を立てて
顎を引いて 頷いてくれた


よーし!
ストライクを目指して ボールを持ち
足を踏み出した


行くぞ
心の中で気合いを入れて
腕を後ろに 振ったそのとき


足が 滑った・・・


「あああ~っ!」


ドッテーン!


見事に後ろにひっくり返り


俺は 頭を 打った・・・





☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ユノとチャンミンは どうしてるかな?
2人に当分 逢えないけれど
不思議と寂しくはありません
今の私は これでいいんだと思えます

このままだと沖縄公演も危ない気がするけれど
何よりも2人もファンも関係者も
罹患しないことが重要ですものね

いつも応援ありがとうございます♪





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紫色の誘惑 31

紫色の誘惑12





俺はあまり運動神経は 良い方ではない
でも ボウリングは皆で楽しめるから好きだ


仕方なく 参加したイベントだったけど
目の前にユノさんがいるから 楽しい
うまく言えないけど 嬉しいんだ


オーナーのヒチョルさんの人柄なのか
ここに集まる人たちは 皆 裏表のなさそうな
気持ちのいい人ばかりで 安心できた


”そっち” の人が多く集まるお店ってことだけが
引っかかったけど
個人的な性的趣向は ありのまま認める
そんな 心の広い人達に囲まれて
俺も 気を許していた





目の前で ユノさんとアッコさんが いちゃいちゃしているから
少し 胸が痛むけど
俺とサリーに対しても とてもフレンドリーに接してくれる
スペアを出せば ハイタッチ
ガーターだとしても ドンマイと声をかけてくれた
その心遣いが嬉しかったのだ


”チャンミンさん 頑張ってー!”
  

アッコさんは とても元気な人だ
スペアを出しても ガーターでも全員とハイタッチ
勿論 俺にも・・・


でも ユノさんには ハイタッチではなく ハグだった


『チャンミンさん 結構上手いね』


ユノさんに言われても 素直に喜びを表せないけれど
恥ずかしさよりも
心の中は 嬉しさでいっぱいだった


ユノさんと ハイタッチで手が触れた瞬間は 
胸が 高鳴る
思わず その手を握ってしまいそうになる


”アッコさんも ボウリング上手なんですね~”


サリーがアッコさんに話しかける


”ユノが好きなのよ ボウリング
前から良く一緒に行ってたから”


”ボウリングデート いいですね”


”うん 盛り上がるわよ”





ズキン・・・





また 胸の奥が痛くなった
やっぱり つきあっているのか?
ユノさんとアッコさん


2人とも 上手だから
ストライクやスペアも多くて
その度に 目の前でハグされると
さすがに 少し凹む


俺がストライクを出したら
ユノさん ハグしてくれるのかな?


なんて 考えてたら
本当に ストライクが出た!


そして・・・





『チャンミン やったじゃん!
すげーすげー』 って 


いきなり ハグされた


俺は 瞬間沸騰湯沸かし器みたいに
頭から 湯気でも出たように
身体中が 一気に熱くなった


頭の中も真っ白になって 固まってしまった


ユノさん


あなたは なんて素敵な笑顔で 俺を包むの?


動けなくなった俺に サリーが驚く


”チャンミン? 大丈夫?”


「あ うん・・・」


『ごめん ごめん
いきなりで ビックリしたよな?』


なんか 友達みたいに慣れ慣れしいユノさんに
面食らった


カウンターの中で クールにカクテルを作る姿と
あまりに違いすぎて


そして 照れ笑いを浮かべ
また 片手を頭にやった


どうしよう?
抱きしめたくなるくらい 可愛い・・・
カッコいいのに こんなにおちゃめな表情をするなんて


あっけにとられていたら


『ほんと ごめんな?』 って
俺の頭を撫でた


ほんの少しでも ユノさんと触れ合えたことが 
とても 嬉しかった







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紫色の誘惑 30

紫色の誘惑8





~ 予感的中! by ヒチョル ~


ボウリング大会 当日
参加者は 総勢16名


店のスタッフが 8人
常連が 8人
この常連には シウォンの仲間と
最近 店で話題のチャンミンさん達が含まれている


4チームに別れての対抗戦
組み合わせは クジ引きで決めた


サリーさんやメグさんが
1人では居心地が悪いだろうと思い
カップルごとのクジ引きにした


といっても それは 
チャンミンさん&サリーさん
ミノさん&メグさんというカップルだけ


それ以外のメンバーは全員
一人ずつクジを引いて
店のスタッフ2人とお客さん2人の組み合わせとなるようにした


できたチームは
なんと 偶然にも ユノとアッコ 
チャンミンさんとサリーさん


俺とドンヘのチームには ミノさんとメグさん
シウォンは 狙っているチャンミンさんとは別のチームになって
正直 ホッとしたのだった





このイベントは 日頃頑張ってくれている
店のスタッフへの慰労とご褒美
そして 
いつも来てくれる常連さんへの感謝が趣旨の
オーナーである俺 ヒチョル主催の毎年恒例のものだ





それから もう一つ
今回は 特別な目的があった


ユノと・・・
チャンミンさんの観察だ 


俺一人だけの隠れた目的


俺の感に狂いがなければ
いや おそらくないだろう
感だけはするどくて
今までも それで助けられてきたことがあるくらいなのだ


俺の見方に狂いがなければ
ユノはチャンミンさんに かなり興味を持っている
そして 
自分をなかなか見せないチャンミンさんも
ユノのことが 気になってるはずだ
見ないふりをしているようでいて
実は チラチラと目線で気にかけていること
俺にはわかっている


初めて見たときから
2人の醸し出す 不思議な空気感を感じていた


一目惚れだな お互い


律儀な後輩ユノをずっと見てきたから
わかるんだ・・・


あいつは 今 恋をしている
でも 相手は彼女がいる男


その男も今 葛藤の中にいる
自分の心境の変化に気づいて 戸惑っている


これは面白くなりそうだ





”お似合いだな”


思わず口に出してしまったら
ドンヘに聞かれていた


”ヒチョルさん 誰が誰とお似合いだって?”


”なんでもないよ”


”気になるなあ・・・
あ ユノとアッコ?
それともチャンミンカップル?
ミノカップル?
シウォンとリョウク?”


”目だけじゃなくて 
耳ざといんだな お前は”


”気になるでしょ?
ユノ チャンミン君と同じ組か
アッコは 気づいてるのかな?”


ドンへも薄々感づいているのだろう


”お前 どう思う?”


ドンヘは 小さい頃からのユノの友達
ユノのことなら 大抵は知っている
俺の妹 アッコの気持ちも・・・


”アッコ いい加減 諦めたらいいのに・・・”


と 呟いて


”あっ ごめんなさい 
兄としては 複雑ですよね”


ドンヘ・・・
やはり気づいてるな
ゲームが始まってからも
全体を見渡すフリをして ユノの様子を伺った


チャンミンさんの様子も・・・


そして たまに
常連さんに 声をかけたりした





"もう ユノったら~ 
ストライク出すって言ったじゃない"


アッコの大きな声に振り向いた


見れば ユノの腕に自分の腕を絡めていて
ボディタッチが多い
ユノは 何とも思っていないから
好きにさせているのだろうが
チャンミンさんたちが若干引いているみたいな・・・


あちこちから 
”ストライク” とか 
”ああ~失敗” とか
楽しそうな声が聞こえてくる
ミノ君たちも楽しんでいるようだ


気がかりなのは 物静かなチャンミンさんたち
楽しくやってくれているといいんだが・・・





受付での用を済ませて戻って来たとき
ジュースを買って
席に戻ろうとするサリーさんと会った


"あ ヒチョルさん お疲れ様です
盛り上がってますね"


"楽しんでください
それ 持ちましょう"


数本あるペットボトルを持ってやる


"女性に買いに行かせるなんて
酷い男どもですね"


"違うんです お化粧室に行ったついでに
私が勝手に買ったんです"


"そうでしたか?
アッコが迷惑かけてませんか?
うるさいでしょう?"


"いえ 明るくて場が華やぎます
緊張も ほぐしてくれて素敵な方ですね"


妹だから 兄として 色々気になるが
褒めてもらって悪い気はしない


"うるさかったら いつでも 
俺に言ってくださいよ"


"はい あの・・・ヒチョルさん?
つかぬことをお聞きしても?"


"何ですか?"


"ユノさんとアッコさんて
その・・・お付き合い してるんですか?
恋人なのかな?なんて思ったものですから
あ ズバリ聞いちゃってすみません"


"そう見えます?"


"とっても仲が良くて羨ましいなって・・・
アッコさんの気持ちは痛いほどわかるんですけど
ユノさんはどうなのかな?って・・・
あ ごめんなさい"


サリーさん あなたの見方も正しいですよ


"ユノは 今 恋人はいないんじゃないかな?"


それだけ言うと
サリーさんよりも先にレーンに戻る
ペットボトルを持って ユノのところへ行く


"調子はどうだ?"


『絶好調!』


"チャンミンさん 楽しんでますか?"


「はい」


やはり 笑わない・・・


そして そんな様子を
ユノが 見ていた


『楽しいよな? このチーム意外と強いんだぜ!
優勝狙うぞ』


チャンミンさんの顔を見ながら ユノが言う


「そうですね~優勝を狙いましょうか?」


チャンミンさんが口を開く





間違いない





この場に流れる 微妙な空気を 
瞬時に感じとった


今後の展開を予想しつつ


"頑張れよ!"


ユノの肩を叩いて ニヤリと笑って
自分のレーンに戻った







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紫色の誘惑 29

紫色の誘惑8





”あれ? チャンミンさんは?
お姿が見当たりませんが
どちらか行かれましたか?”


俺が 帰った後 
オーナーのヒチョルさんが 俺たちのテーブルに来て
ミノに尋ねたと聞いたのは
その夜 日付が変わる頃のこと


サリーが 俺のことを気遣い 連絡をくれたのだ





”チャンミン 大丈夫?
急に具合が悪くなったみたいだったから
気になって”


「ごめんな・・・
サリーには関係ないのに バーにまで付き合わせて」


”あ そうか 
そうね・・・
もう 関係 ないのよね・・・”


少し寂しそうな声に 胸が痛む


「俺は大丈夫だから
ミノには 俺から連絡するよ」


”うん そうしてくれる?
心配していたから”


「サリー?」


何か言いたげなサリーの様子に 思わず声をかけた


”ん・・・あのね
やっぱり 言えなかった
ああいう場では なかなか 難しいわね”


俺たちが別れたということ 
まだ 誰にも言えていない


「いいよ そんなこと 気にしなくても
今度 俺からミノに言うからさ
メグちゃんにも ミノから言ってもらおうか?」


”ありがと
うーん でもそのうち 頑張って言ってみるわ”


「そうか 無理するなよ」


”うん あ そうそう あのね 
来月の第二日曜日にね
皆で ボウリングしませんか?って”


「ボウリング?」


”そう チャンミンが帰った後
オーナーのヒチョルさんていう人が席に来たの
お店が5周年記念らしくて
ボウリング大会を企画してるんですって
是非 来てくださいって 誘われたの”


「サリーたちも?」


”うん 是非4人でいらしてくださいって”


「・・・」


”私はいいんだけどね 楽しそうだし
でも チャンミンが嫌なら
私は 行かないから行ってくれる?”


おれは つくづくサリーに 
迷惑を かけるようにできているみたいだ


「サリー ほんと ごめんな
色々 気を遣わせて・・・
俺は 行かないよ 
だから キュヒョンでも誘って 4人で行ってこいよ
その方が 気が楽だろ?」


大学時代の同級生 キュヒョンとヒョンジュンは
サリーやメグとも
何度も一緒に出かけているから
勝手知ったる仲だ


ヒョンジュンは 仕事で遠方にいるから
誘うことは 今は無理だけど
キュヒョンなら・・・


”それがね チャンミンには絶対に来てもらいたいんですって
お店の方や常連さん
皆の希望だからって”


「え? 何だよ?それ
俺は いいよ 
もともと ミノに ”どうしても” って頼まれて 
つきあいで行った店なんだから義理立てする必要もないし」


”でも・・・
チャンミンが行かないなら 私も遠慮するわ
行く意味ないし・・・
でも そうするとメグが嫌がるかな?”


「めんどくせ~な
いっそのこと 全員でやめればいいんじゃないの?」


”ねぇ チャンミンは どうしてそんなに嫌がるの?
あのお店 行きたがってたし
絶対 好きなタイプのお店でしょう?
お店の方の感じもいいし 何か用があるなら別だけど
何か・・・あったの?”


「別に 何もないよ」


”あの男の人に誘われたこと 警戒してるの?
シウォンとかいう人”


「シウォンさんはもう 大丈夫だよ
悪い人ではなさそうだからね
ただ そっちってだけ」


自分もそっちに行こうとしているくせに
ちゃんちゃら おかしい・・・


”じゃあ 行ってもいいんじゃない?
ミノくんもメグも一緒なら 別に嫌じゃないでしょ?
せっかく誘ってくれたのに・・・
あ そうか 
どうせ行くなら 意中の人と行きたいわよね
私って気が利かないね もう関係ないのに・・・
ごめん”


ああ そんなつもりじゃないのに・・・


サリーを傷つけたくはないのに・・・


「サリー 違うんだよ
最近 忙しかったからさ
少し 家でゆっくりしたいと思っただけだよ
サリーにそんなこと 言わせてこっちこそごめん」


”別に大丈夫よ
ただ 私のことが気になるなら遠慮はしないで
代わりの美人なら いくらでも調達しますから”


サリーは 本当にいい娘だ


俺には 勿体ないくらいだ


そのサリーを傷付けておいて


俺は ユノさんを・・・


一体 どうしたらいいんだ?





ユノさんへの気持ちはもう 
確かめるまでもなく はっきりとしている


相手のことを たいして知りもしないのに
好きだなんて
一目惚れっていう 厄介な魔術にひっかかった


まさか サリーに言えないしな





翌日 健気なサリーのことを考えて
仕方なく 参加の返事をした


ミノは能天気に喜んで


”そうでなくっちゃ! シム・チャンミン!”


やけにハイテンションだった


ユノさんは 来るのだろうか?
来る・・・よな?





☆ ☆ ☆ ☆ ☆

コロナウイルスの脅威は全世界的なものになってきちゃいましたね
来週から 小中高等学校がお休みだそうで
その年代のお子様を抱える親御さんは大変ですね
お仕事のこともあるし このまま冬休みとか・・・
一刻も早い新薬の開発が待たれます
SARSやMARSの比ではない恐ろしさです
私もうがい手洗いをこまめにして一日中マスクをしています
手を洗い過ぎてかさつくからハンドクリーム使う使う
皆様もお気をつけください





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紫色の誘惑 28

紫色の誘惑8





また 紫色のカクテル・・・?


4人で楽しく話しているところに
現れた ユノさん


『ミノさん チャンミンさん
良かったら これ飲んでみてください』


ユノさんは 相変わらず爽やかに微笑んで
4種類の 全く違うお酒を運んできた


アッコさんとか 
他にも お店の人はたくさんいるのに
どうして わざわざユノさんが?
店内には 従業員は何人もいた


”わぁ いいんですか?
いつも 悪いなあ・・・
俺 あまりカクテルとか詳しくなくて”


ミノが ハイテンションになる


『いいんですよ
こんな綺麗な女性をお2人も連れてきてくださって
お店も華やぎますから
ほんの 気持ちです』


すると 今日はやけに饒舌なサリーが言う

 
”これは ユノさんがお作りになったんですか?”


『はい 新しいカクテルを考案するのが
今の私のもっぱらの楽しみなんですよ』


メグちゃんまで


”ユノさんみたいな素敵な方が直々に作ってくださったお酒なら
きっと 美味しいですね
私たち みんなお酒が大好きなんです”


『それは 良かった
是非 また皆さんでいらしていただきたいので
今日は えっと・・・
サリーさんと メグさんでしたよね?
お2人のイメージで作ってみたんです
甘いのは お嫌いですか?』


”いいえ 私は 大好きです”


メグちゃんは あまいフルーツ系のお酒が好きなんだ


”ユノさん ちょっとここに座ってくださいよ
少しなら 大丈夫でしょう? どうぞ”


お調子者のミノが余計なことを言う


『では 少しだけ・・・』


え?


座るの?


さりげなく 俺の隣りに腰を下ろしたユノさんの
肩が 触れる
俺の表情が 強張っていることが
皆にバレてしまわないか 急に不安になる


『サリーさんは 甘くない方が良かったかな?”


俺の右隣りに座ったユノさんが
俺の左隣りの サリーに話しかける


俺の目の前で 
顔を 覗き込むようにして・・・


勘弁してほしい


一気に身体が熱くなる


”本当は 甘くない方が好きです
でも 今日はユノさんが作ってくださった記念のお酒ですから
美味しくいただきますね”


サリーまで にっこにこだよ
メグちゃんのカクテルは ほんのり黄色


サリーのは グリーン系


ミノは この間と同じくピンク色


そして 俺のは 紫・・・


”お酒の説明をしてくれませんか?”


ミノの言葉に頷いて
ユノさんが 説明を始める


俺は 全く耳に入らない


”どうして 俺のはいつもピンクなんですか?”


『ミノさんは 初めていらした時から 
男性にしては可愛らしいというか 
あ 気を悪くなさったらすみません
イメージが ピンクなんですよ』


”やっぱりぃ?
私もそう思うんですよ~”


メグちゃんも上機嫌


”そうかなあ?
俺 そんな可愛いイメージ?
結構身体も鍛えてるから ムキムキしてるんだけどな
なぁ? メグ”


その生々しい会話 やめろよ


『それはそれは失礼しました
脱いだら凄いんですってタイプなんですね』


”結構 自信あるんです”


『羨ましいな 
じゃあ今度は 違うイメージで作りますね』


”我儘言ってすみません
ユノさんに作ってもらえるのが嬉しくて
あ じゃあ チャンミンの紫はやっぱりイメージですか?”


『あ・・・チャンミンさんは 何処か影があって
掴みどころがないというか
あくまでも 第一印象ですけれど
何か怪しげで高貴な感じがしますね
それで 紫かなあと』


”紫 俺も チャンミンに似合ってると思います”


「そうかなあ?」


”愛想ないなあ
ユノさん いつもはこんなに無愛想じゃないんですよ”


”チャンミン どうしたの?”


サリーにまで 心配される


「いや  別に なんでもないよ」


そう言って 顔を上げれば


『すみません
お客様のことを よく知りもしないのに
勝手なイメージ 作り上げてしまって』


また恥ずかしそうに頭に手をやるユノさん
だから その表情がダメなんだって・・・


その瞬間 ギューっと胸が締め付けられるような感覚


”チャンミンは 少し 人見知りなところがあるんです”


サリーが 助け舟を出す


『そうなのかな?って思っってました
すみません ずうずうしくお邪魔しちゃって
どうぞ ごゆっくり!』


”あの・・・”


立ち上がったユノさんに サリーが話しかける


”イメージが変わったら また 違う色のカクテル
作ってくださいますか?”


『勿論ですよ
いつもお酒のことを考えていますから
すぐに 新作をお作りします』


”ユノさんは お酒が恋人?
あ そんなわけ ないですよね?
女性が放っておくわけ ないですよね
きっと 素敵な彼女がいらっしゃるんでしょうね”


『どうでしょうか?』


恋人の存在を誤魔化すように
曖昧な返事をして 
サリーの問いには答えなかった


『チャンミンさんとサリーさんはお似合いです』


俺とサリーを交互に見て
わけわからないことを言って
ユノさんは カウンターに戻って行った





”お前さ ユノさんのこと気に入らないの?
ユノさんが来ると いつもむすっとしてさ
笑わないなんて いくら気に入らなくても失礼だろ?”


ミノの言葉に まともに答える気になれず


「ごめん 少し フラフラするから 
先に帰るよ
みんな ゆっくりして行って」


”またか・・・”


サリーにも 大丈夫だからと声をかけ
俺は 席を立ち
一足先に店を後にした





俺は どうしたらいい?


歩きながら思い出したのは
隣りに座ったユノさんの
ブルーのシャツから ほんのり漂った煙草の匂い


あれが ユノさんの匂い・・・
なかなか治まらない胸の動悸に気づかないフリをして
駅への道を急いだ


随分と 風が生温かい夜だった







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紫色の誘惑 27

紫色の誘惑8





~ 観察 by ユノ ~


ドンヘが 教えてくれた


”シウォンが チャンミンに言った” と
そう 
チャンミンは 俺のお気に入りだって・・・


警戒されなきゃいいけど





まだ 店の客と従業員という
ありふれた関係の域を出ていない間柄なのに


俺はカウンターの中から
そっと チャンミンの座る席の様子を 伺う
ミノ君と話している時は 本当に楽しそうだな
仕事は 何をしているんだろう・・・?


あのスタイル
モデルと言っても十分通用する容姿だ
身長は ほぼ俺と同じか少し高いくらいか?


大きな目は バンビみたいでキラキラしている
お酒を飲みながら話をしているチャンミンは
横顔も美しくて 見惚れてしまう


ころころ変わる表情
たまに見せる 女性のような仕草
両手を合わせて 顔の前に持ってきたりして
育ちの良さが窺える


かと思えば
片肘をテーブルにつき 
突然 肩を揺らしながら
大きな声で クックックと おやじ笑いが入る


良くしゃべるミノ君とは対照的で
大抵は 聞き役という感じ


俺はまだ
あんな笑顔を向けられたことがない


人見知りなのか・・・?


それとも
今日は 彼女が一緒だからか?


サリーさん・・・


この間 チャンミンとキスしていたのは この女性だ
胸の中に モヤモヤとした
得体のしれない感情が 湧きあがる


俺は 男


相手も 男
しかも 彼女持ち


俺は チャンミンという男に興味を持っている
そう 興味があるだけだ
そんな風に 自分に言い聞かせて
なんとか この感情が治まることを期待して
誰にも 気づかれないように
チャンミンを観察し続けた





”チャンミンは 遊びの相手ではないな”


ドンヘが そんなことを言っていた
言動に気を付けなければ 簡単に嫌われてしまいそうだ
下手に傷つけたら もう二度と会うことも叶わないだろう


ガラスのような 儚さも感じるし
見た目の美しさの影に潜む 芯の強さや男らしさも
チャンミンの魅力の一つだ


もう少し
お店で話をして 観察してみよう
まずは ボウリング大会に来てもらえるように
相手の警戒心をなくすことが先決だ


そして 兄弟のような関係を目指す
気持ちを確かめるのは それからでも遅くない


俺らしくない駆け引き
女相手に こんなに考えを巡らせたことなど
ただの一度も ないのに
今の俺は 下心満載のただの段取り君だ


苦笑いが出てしまう
それでも 何となく
チャンミンと自分の間には
見えない糸のようなものが存在しているような気がして
このままでは 終わらない・・・


そんな 予感がしていた





まだ 誰にも出したことのない
新しいカクテルを考案して
チャンミン達の席へ向かう


俺に気づくと
瞬時に その美しい顔から 笑顔が消える


まただ・・・


何故?


何故 笑わない?


胸が痛いなんて 俺らしくもない


なぁ そんなに警戒しないでくれよ
俺にも 笑ってみせてよ
その美しい笑顔を 俺にも向けてくれよ


心の中で念じながら
紫色のカクテルを 差し出した





☆ ☆ ☆ ☆ ☆

このお話は ヨジャが出てくるし
登場人物も多いです
展開もゆっくりでなかなか2人のムフムフには辿り着かないお話です
じれったく思う方もいらっしゃると思いますが
いましばらくお付き合いいただけたら嬉しいです

プライベートがもう少し落ち着いたら
書きかけのお話や新しいお話なども間に入れていく予定です
【紫色の誘惑】 長いですから・・・

ノンケだった男同士が恋に堕ちるなんて
実際にはなさそうだけど 
ユノとチャンミンが少しずつ近くなって行く様子を
丁寧に書けたらいいなと思って綴っていたお話です




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紫色の誘惑 26

紫色の誘惑8





~ 何気ないひと言 by ユノ~


"全く シウォンはお喋りだな"


『どうした?』


従業員仲間のドンへとはうまが合う
気軽に何でも言いあえるから
お互いプライベートも話す仲だ


"ユノがチャンミンのことを気に入ってるとか
本人に言ってたぞ"


『ちょっ ドンヘ マジかよ?』


"さっき トイレの前で
シウォンがチャンミンに 名前を聞いててね
まあ 別に何をするってわけじゃないから
心配は してないんだけど"


『アイツ・・・』


"まぁ 俺が チャンミンには手を出すなよって
釘をさしたら
やっぱり君がチャンミンかって・・・"


『この間の俺たちの話 アイツも聞いてたからな』





何日か前のことだった


今度 店のスタッフ vs 常連のお客様対抗で
ボウリング大会をしようという計画の話をしていた


その日は 朝から雨で 
店もガラガラだった


お客さんと言えば
シウォンを含めて ほんの数人だけだった


常連中の常連
毎日のようにこの店に集まって来るメンバーだ


ヒチョルさんやドンヘ達と
隅の方で打ち合わせをしていたら
シウォンが来て
誰を誘うのか?って話になり・・・


"あの子 誘ってよ" とシウォンが言ったのだ


"あの子って?"


ヒチョルさんが聞くと


"ほら 最近何度か来てるでしょ?
イケメンの可愛い男の子"


"誰だ? それだけじゃ わかんないよ」


"背が高くてさ 2人で来てたよ
もう1人も可愛いの"


'tこの店にはイケメンは沢山来るからな"


俺は その言葉を聞いて
すぐに チャンミンとミノのことだとわかった


けど 黙っていたのだ、


ヒチョルさんは 本当にわからないのか
あえて わからないフリを しているのか
シウォンの言うことを全く相手にしなかっった


シウォンが 去って行った後
俺が 言った


『チャンミン君とミノ君を誘う?』


俺の提案を ヒチョルさんは即受け入れた


"ああ いいね 彼らが来たら皆 喜ぶだろうし"


『ありがとうございます』


"ユノが客を指名するの 珍しいな"


『なかなか感じのいい子たちだし
なんか 綺麗でしょ?
また店に来てくれたらいいなって思って』


"確かに あの2人には華がある"


ヒチョルさんにそう言われて
俺は思わず笑顔になった


そんな俺の様子を見たドンヘがすかさず茶化す


"ほー ユノ 遂に男に目覚めたか?!
あれだけ 多くの客に言い寄られても
全くなびかなかったのに・・・
チャンミン君だろ?
彼 結構ベールに包まれてるよな"


ニヤニヤしながら俺を見るドンヘ


『何 つまんないこと言ってんだよ
そんなんじゃないから』


ただ 


ただ


気になってるだけだから・・・


店以外の場所で会えば
少しは話せるだろうし
そうすれば
彼のことも 少しわかるかもしれない
そう思ったから 提案したんだ


"OK! じゃ メンバーは決まり!
あ 詳細決まってから言うから
まだ 誘うなよ"


ヒチョルさんの一言で
打ち合わせは 終了した





カウンターに戻る時
ドンヘが俺の肩に手をおいて


'tユノのお気に入りはチャンミンの方だよな?
言ってもいいか?"


『何を?』


"チャンミン君 正直 女より断然綺麗だぜ"


『なんだよ そんなことか』


"おーおー 照れちゃって〜
マジでいいと思うよ 彼
何度か見てるけど
ちょっと 他の男とは違う感じ"


『随分 観察してるんだな』


"ユノ 女はめんどくせぇーって言ってたもんな
あ でも 
チャンミンは 適当に遊ぶ相手ではないな"


そう マジな顔をして
ドンヘが 俺を覗きこむ


『だから そんなんじゃないって言ってんだろ?
もう少し フレンドリーに話せたら
楽しいだろうと思ってるだけだよ
そのほうがチャンミン君たちだって楽だと思うからさ』


そんな風に 言ってみたけれど・・・


ドンヘの 鋭い観察眼に 少し驚いたのも事実





そんな 俺たちのやりとりが
シウォンに 聞こえていたんだな・・・


シウォンには チャンミンを取られたくない
そんな風に 思ってしまった


脳裏に
チャンミンの中性的な佇まいが
ぼんやりと浮かんだ







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紫色の誘惑 25

紫色の誘惑8





突然 現れたユノさんにときめく


会いたかったはずなのに
いなければいないで ホッとしている自分に
臆病だなと思う


でも
耳元で聞こえた低い声
差し出された綺麗な手
何か 言いたげな 俺への視線


まるで 逸らすことが許されないかのように
まっすぐ見てくる アーモンドアイ


この人は 
俺の関心を一気にかっさらって行く特異な人だ


脂汗をかきながら
ミノ達と談笑するけれど
身体は火照ったまま


「ちょっと悪い」


軽く片手をあげて 席をはずし
気持ちを 落ちつけようと
トイレへ向かった


途中 カウンターの中でシェーカーを振るユノさんを
チラッと見る


揺れる前髪
サラッと 髪が動いて
見えた黒い瞳


一瞬だけど 目が合う・・・


俺は 気づかないふりをして
トイレへ向かった





"おや? この間の愛しの君ではないですか~?"


「・・・」


この間 俺に声をかけてきた
店の常連だという 顔の濃い男だった


俺の 嫌そうな表情を見たせいか


"そんなに 警戒しないでよ
大丈夫 何もしないからさ"


肩を竦めて 両手を上げる仕草は
アメリカ映画に出てくる犯人みたいだ


"名前だけでいいから教えてよ
また ここで会うかもしれないでしょ?"


目が笑っている


「何で あなたに」


名前を教えなくてはならないんだ?
と言おうとしたとき


"シウォン やめとけよ
チャンミンには 手を出すなって
オーナーに言われてるだろ?"


誰だ?


振り向くと
ああ よく見かける店の人


"何も 取って食おうとしてるわけじゃないよ
ドンヘさん
そんなに怖い顔をしないでよ
チャンミン て やっぱり君のことだったんだ"


"もう行けよ シウォン
チャンミンさん すみません また・・・
アイツは お茶らけてるように見えるけど
悪いヤツじゃないですから・・・"


「はい ヒチョルさんにも聞きました」


この店は 好きだけど
来るたびに話しかけられるのは
あまり 嬉しくない


終始 ニッコニコのシウォンさんという人は


"はいはい 行きますよ
名前がわかっただけで収穫だから
チャンミン よろしく"


そう言って 手を差し出してきた


ドンヘさんという従業員を見ると
”大丈夫だよ” という意味なのか
頷いたから
仕方なく 手を差し出して握手をした


"ヒューッ!
見れば見るほど美しいね~
ユノも見る目があるな"


"こらっ シウォン"


"おっとっと!
わかりましたよ もう行きますよ
ユノに回し蹴りされるのは もうごめんだからね"


???


何なんだ?


言ってることがよくわからなくて
シウォンさんとドンヘさんの表情を確認した


"ユノのお気に入りに手を出したら 
この店 出入り禁止になっちゃうからね
じゃあな まったね~"


ユノのお気に入り?


俺が?


ユノさんに 気に入られてるの?


そんな バカな・・・


思いがけない展開に 頭が混乱した


爽やかな笑顔で仕事をするユノさんと
俺をじーっとみつめるユノさん


どちらもユノさんだ


ユノさん もしかして
俺 もう少しお近づきになれる?





カウンターの中では
今も華麗なシェーカー捌きで
目の前の客の視線を浴びるユノさん


仕事だとわかっていても
不特定多数の客に
あんな笑顔と仕草を見せるなんて・・・


小さな嫉妬心が
胸の奥に芽生えた瞬間だった





💖 💖 💖 💖 💖

ハイタッチ会🤚
正式に延期のお知らせがありましたね
ようやくです😙待ってました
ユノとチャンミンだけではなく
スタッフやファン 関係する全ての人にとって
延期は最善の策だと思います😌
多くのイベントが中止や延期 無観客になる中
ハイタッチ会なんて開催したらコロナの危険以外にも
マスコミに取り上げられて叩かれそうで😣
2人に逢える機会がなくなってしまうのに
こんなに嬉しいなんて😅
せっかくならマスクとかせずに楽しくハイタッチしたいですものね🥰
改めて安心できる時期の開催を待ちましょう😋
運営さんに感謝します♪





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紫色の誘惑 24

紫色の誘惑8





俺たちは 今度 ボウリングに行くという話をしながら
それなりに 楽しく飲んでいた


サリーとのことは そのうちに
機会を伺って 話せばいい


4人で会うことには 全く問題なさそうだし
別に 嫌いになって別れたわけじゃないんだから





”お待たせいたしました”


オーダーした2杯目のお酒が運ばれてきた


目の前に差し出された綺麗な手には 見覚えがある
その手が 誰のものなのか
俺には 瞬時にわかった


『お久しぶりですね 
チャンミンさん ミノさん』


「っ!」


一気に心拍数が上がる


紛れもない ”あの人” ユノさんの声だ


今 俺の隣りに立っているのは ユノさんだ 





なんか 心臓がバクバクして
顔を見ることが できない
顔を上げられない


”こんばんは
今日は お休みなのかと思っちゃいましたよ”


ミノが 調子よく言う


『私がですか?
今日は 出勤時間が少し遅めだったもので
先日 お話されていた彼女さん達ですね』


”はい そうなんです
俺の彼女のメグと
あと チャンミンの彼女で サリーさんです”


『絵に描いたような 美男美女カップルなんですね
驚きました
あ 私は ここのバーテンダーでユンホと言います
初めまして 
皆 ユノと呼びますので 皆さんもユノでお願いします』


爽やかな笑顔を サリーたちに向けている


「初めまして・・・」


メグは ニッコニコだけど
サリーは大丈夫か?
そうっと 様子を窺うと


あれ?


”初めまして サリーです
凄く素敵なお店ですね♪
それに こんなカッコいいバーテンダーさんが いらっしゃるなんて
もっと 早く来れば良かったです~”


サリーは にこやかに挨拶をした


か 軽い・・・


サリー・・・


でも サリーが語尾を上げて話すのは
無理矢理テンションを上げているときだと
俺は知っている


機転の利くサリーに 改めて感心する


”だろ? だから早く4人で来たかったんだよ
なっ? チャンミン”


「えっ?」


急にふられて


「ああ・・・」


”なんだよ チャンミン 無愛想だな”


「うるさい! いつもだよ 悪かったな」


アハハハ・・・


みんなの笑い声が響く
勿論 ユノさんも・・・


『ミノさんは 嬉しそうですけど
チャンミンさんは 恥ずかしいのかな?
では ごゆっくりどうぞ』


見るな


見ないでくれ


”チャンミン お前 耳まで真っ赤
そんな 恥ずかしがらなくても”


ミノが ベラベラ喋る


「いいから 飲もう」


チラッと ユノさんを見上げてみる


目が合うと 笑ってない
優しい笑顔なんだけど
心配そうに 俺をじっと見ていた


そんな 俺たちの視線に気づくはずもなく
ミノは 


”さあさあ もう一度 乾杯ね”


”あ ユノさん
お願いがあるんですけど・・・
彼女たちのイメージで
カクテルを 作ってもらえませんか?
もちろん ちゃんと お支払いしますから”


『かしこまりました
彼女たちに 負けないくらい
綺麗な カクテルを お作りしますね』


”わがまま言って すみません
ありがとうございます”


『楽しみに お待ちください』


そして 去り際に ユノさんが
俺にこっそり耳打ちした


『チャンミンさん達も ミノさん達も
お似合いのカップルですね』


背中の真ん中を 


汗が 一筋


スーッと つたった・・・







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紫色の誘惑 23

紫色の誘惑8





”あ チャンミン・・・”


俺の姿を見つけたサリーが 驚いて立ち止まる
お互いに 少し気まずい


「座れよ ミノ達はまだだよ」


”うん・・・”


席に案内してくれた店の人に
俺と同じビールを頼むと サリーが口を開いた


”ごめんね
チャンミンがいるって 知らなかったの”


「多分そうだろうなと思ってたよ
サリーが来るって聞いたけど
それで 俺が じゃあ行かないって言うのも な?」


”そうね ミノ君たち
まだ 知らないんでしょう?
実は私も まだメグに言えてない”


「今日 話そうか?」


”うん そうね・・・”


「俺たち 普通に話せるよな?」


”うん できると思う 
このメンバーなら 大丈夫ね”


ビールでコツンと小さく乾杯をした
何に対する乾杯なのかはわからないけれど クセみたいなものだ
突き出しのナッツをつまんでいたら
10分くらい経ったところで
ミノとメグが一緒に入ってきた


席は4人になり 場は華やかになった
その頃には 他のお客さんも増えて
お店自体が かなり活気づいていた


俺とサリーが別れたこと
どうやって切り出そうかと 機会を伺っていた


ミノたちがオーダーしたドリンクが届いたとき
運んできた女性に 話しかけられた


”あの もしかして 
あ 人違いでしたらすみません
あなたたちが チャンミンさんとミノさんですか?
突然 不躾に申し訳ありません”


その女性は 恐る恐ると言ったふうに
俺たちの様子を窺っていた


”ユノ~” と言って ”あの人” の腕に腕を絡めて
店内に入って行った あの女性だった


明るいショートカットの目の大きな元気そうな女性


そうだと 答えると


”やっぱり!”


パッと 嬉しそうな顔をした


”最近 お店で話題になっているイケメン2人って
あなたたちのことだったんですね
やっぱり カッコいいわ~
あ 彼女さんたちですね?
彼女さんたちまで美しいなんて
こんなに素敵な2カップルは見たことないです”


人懐っこい笑顔でまくしたてるこの女性が
”あの人” の好みなのだろうか・・・


”こらっ! アッコ 何喋ってるんだよ
すみません コイツは僕の妹でアッコと言います
この店の従業員です
失礼なことを申し上げませんでしたか?”


「いえ 何も・・・」


サリー達もびっくりしたみたいだ


”お兄ちゃんもユノも 言ってたじゃないの~
とにかく このお店に通ってくださって嬉しいです”


キョトンとする サリーとメグに向かって


”あ ご心配なく! 
私には素敵な彼氏がいますから 狙ってませんからね
私よりも お店の常連さんたちの方が”


まだ 話したそうなその女性の言葉を遮り


”アッコ もういいだろ さっさと仕事に戻れ”


ヒチョルさんが 腕を引っ張って連れていこうとする


”すみません どうぞ ごゆっくり”





一瞬 静かになる俺たち
嵐のように話し出して
風のように連れて行かれたアッコさん


結局 メグちゃんにしつこく聞かれて 
俺が 男に誘われたことを 知られてしまった


全く ミノもお喋りだ


それにしても さっきのアッコさんの言葉・・・
彼氏って まさか・・・
”ユノさん” のこと?


心臓が バクバクし始めたことを確認しながら
目の前のビールを 一気に飲み干した


まさか 俺の気になる相手が
この店のバーテンダーで 男性だとは
サリーもメグちゃんも
きっと夢にも思わないだろう


それでいい


誰にも言うつもりなないのだ


サリーたちは 不思議そうな表情を浮かべて
店内を見渡していた







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