GREEN ROAD 22 (LAST)
出かける準備をしているチャンミンと会話をしていると
同棲しているような錯覚に陥る
一緒に暮らしたら楽しいだろうな
ってまだ時期尚早か・・・
チャンミンはどう思っているのだろう?
『夏休みって取れるの?』
「そうですね 状況が変わって
プラネタリウムが通常営業できるようになれば交代で取れます
でも 夏休みは繁忙期なんで夏休みはだいたい6月か9月です
今年は6月はあり得ないから9月頃かな・・・」
『俺は自由に取れそうだからチャンミンに合わせるよ』
「えっ?」
『一緒に 旅行にいかないか?
星の見えるところへ』
「あ・・・」
『もしかして もう予定ある?
実家に帰るとか?』
「いえ そうじゃなくて 嬉しくて・・・
ユンホさんと旅行に行けるんですか?
めちゃくちゃ嬉しいです」
『良かった』
「実家は割と近いからいつでも行けます
だから帰省とかは無いんです
ユンホさんは?」
『俺はちょっと遠いけど
毎年 正月に顔を出してるから大丈夫』
夏は毎年女と旅行だったから
実家に帰ったことは一度もない
チャンミンには言えないけどな・・・
「お待たせしました」
旅行の話をした数分後
出かける準備を終えたチャンミンが
リードを付けたぽっちを抱っこして立っていた
『よしっ 出かけるか』
「行きましょう」
玄関で 靴を履いたところで
チャンミンを軽くハグし
顎を抑えてチュッとキスをしたら
「んん・・・」
鼻に抜けるような色っぽい声を一瞬漏らし
得も言われぬ可愛さで はにかんだ
マズいって・・・
散歩に行かずに
今ここで始めちゃうわけにもいかないよなぁ
ぽっちが見てるし
これ以上玄関にいると我慢できなくなりそうだから
チャンミンに背を向けてドアノブに手をかけた
『行くぞ』
「あ はい・・・」
『チャンミン 外でそんな声 出すなよ?』
「そんな声って言われても・・・」
『頼むから俺の前だけにしてくれ』
チャンミンからの返事はないけれど
振り向かずにドアを開けて外に出た
今 どんな顔をしているのか
振り返って見てみたい気持ちをぐっと押さえ
歩き出した
俺たちが朝のデートをしている公園は
今日もそこそこ人がいる
緊急事態宣言とはいえ
少しは外の空気も吸いたいよな
外でも人との距離を取れていれば
マスク等をして短時間の外出もいいと思うだろうし
何より 運動不足で身体がなまってしまうことが怖いのは
俺も一緒
ぽっちもピョンピョン飛び跳ねたり走ったりして
伸び伸びしているようで
一緒に軽く走る俺たちにもいい運動になった
チャンミンはぽっちを抱き上げて
お父さんが子供を高い高いするように
空に向かって持ち上げた
「ぽっち~ 気持ちいいだろ?」
とっても楽しそうな人間と犬の親子みたいだ
ぽっちをよく見ると笑っている?
「ユンホさん 見て見て?
あの雲 ぽっちに似てると思いませんか?」
高く上げたぽっちと遠くに見える雲
確かに似ている
そういやぁ ぽっちは白い綿菓子みたいだもんな
『似てる ぽっちがたくさんいるみたいだよ』
ぽっちに話しかけるチャンミンも幸せそうだけど
そんなチャンミンを見る俺も幸せだ
「ユンホさん 少し休みましょう」
『どうした? 身体 辛いか?
朝のせいか?』
とわざと聞いてみたりして・・・
「ちっ 違いますって・・・
ぽっちと遊んで少し疲れただけです」
また 恥ずかしそうな仕草
もう堪らない
抱きしめたいし キスしたいし
抱きたいし・・・
真昼間の緑の公園で
こんな不埒なことが頭をよぎる俺は
相当 盛ってるな
今でこそ 何もなかったように
子犬を連れて健全な散歩をしているけれど
つい数時間前には裸で愛を確かめ合っていたのだ
触れたいと思うことは自然なことだよな
つきあいたてなんだから・・・
『チャンミン 寝転がってみないか?
この芝生 気持ち良さそうだし』
「いいですね」
俺はこのままごろんと寝転ぶつもりでいたのに
チャンミンはごそごそとリュックの中を漁っている
何をしているのかと思ったら
大きなレジャーシートが出てきて驚いた
『準備よすぎないか?』
「いつも入れてあるんです」
おかげで服を汚さずに
寝っ転がることができて
リードに繋がれたぽっちも大人しく
チャンミンの腹の上
「休みが取れたら
あまり人の多くない綺麗な場所に行って
沢山の星を見たいなぁ」
『いいな それ
南十字星の見えそうなところとか』
「わぁ マジですか?
オーロラが見える北欧にも行ってみたいし
南の島も行きたいし嬉しいなあ」
並んで寝転がり
横を見ればチャンミンの顔
大輪の花を咲かせたチャンミンの顔を見ていると
その願いを叶えてやりたいと強く思う
去年までは 女の行きたい所に行っていた俺も
今年はチャンミンと一緒に
計画から楽しみたいと思う
『南の島もいいし 山の上もいいよな』
「僕 海でも山でもいいですけど
星や景色だけじゃなくて
ユンホさんも撮ってみたいな」
『俺?』
「はい 普段人物を撮ることは殆どないですけど
ユンホさんは撮りたいと思うんです」
『そりゃ 光栄だな』
「美しいものは撮りたくなるんですよ」
『じゃあ 俺もチャンミンを撮らなくちゃだな』
「光栄です」
ぽっちをお腹の上において
にこっと微笑むチャンミンが
木立の隙間から差し込む光に揺れて
とても綺麗だ
『一緒に旅行 実現させような』
「はい」
今日は空も青々として とても気持ちがいい
目を閉じると そよそよと吹く風を感じる
初夏の緑の香りを鼻からいっぱいに吸い込んで
空を見上げると 昼間だというのに
青空に満点の星が輝いているように見えた
Fin
🍀 🍀 🍀 🍀 🍀
【GREEN ROAD】 終了しました
自粛生活が続く日々に少しでも笑顔になってもらえたらと思い
明るめのお話を書いてみました
最後までお読みいただきありがとうございました♪
さて 次はどうしようかな?
読んだよ~のしるしに
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