
〜 LONDON にて 10 〜
結局 MAX は俺の部屋に泊まった
狭いベッドでは寝苦しかったけれど
嫌じゃなかった
「ユノ ごめん
ロンドン最後の夜なのに
ゆっくり できなかったね」
『お前が誘ってきたからな』
「違うだろ?
こういうの 合意の上って言うんじゃないの?」
『そういうことにしとくか?』
「そういうことだろ
何言ってんだよ」
MAX はチャンミンではないし
俺も MAX の愛するユノではない
そんなこと百も承知の上での会話
似ているというだけで覚えた親近感と
ただの行きずりと言うには
心が咎められるくらいには気になる相手
きっと お互い忘れられないんだろうな・・・
ホテルの中で簡単なモーニングを取りながら話す
『今日から 撮影で地方を回るから
もうロンドンには来ないと思うよ
数日で韓国に帰るし・・・
お前は? ずっとこっちなの?』
「うん 生まれてすぐにイギリスに来たみたい
僕 韓国人なのに その後一度も
韓国行ったことないんだよ?
おかしいだろ?
母さん 帰りたがらなくて・・・
だから これからもずっとこっちかな?」
家族のこととか
これ以上は聞かない方が良さそうだと判断し
深入りせずに話題を変えた
『お前は英語もできるんだからさ
何か海外と関わる仕事でも
目指したらいいんじゃないの?』
「そだね・・・
いつまでも身体を見せるアルバイト
してるわけにもいかないしね」
ペロッと舌をだして笑う顔は
少し あどけない
MAX と出会ったことで
ますますチャンミンに逢いたくなった
仕事が一区切りしたらアムステルダムに行こう
そんなことを考えて
もう会うことはないであろう MAX と
握手をして別れた
『ユノ 戻ってくるといいな?』
「余計なお世話
そっちこそ チャンミンを
ちゃんと捕まえておけよ?」
『それも余計なお世話だよ
心配すんな』
長い睫毛までチャンミンと一緒だ
お互い いい人生が待ってるといいんだけど・・・
歩いて離れて行く MAX の細い後ろ姿は
どことなく寂しそうで
誰かがそばにいてやらないとダメになりそうな気がした
でも ここはイギリス
アイツはきっと強く生きていくだろう
今 少しの迷いを抱えているとしても
自分に与えられた人生を きちんと受け止めて
母親を幸せにするだろう
あのテの顔は
ともすると儚げな印象を与えるから
どうしても気にしないではいられない
去って行く小さいお尻が
ますます小さくなって行く
そんな MAX への思いを振り切るように
空を見上げる
ロンドンにしては珍しい青空だった
今日からの郊外での撮影には
もってこいの好天
幸先がいい
アレックスとの待ち合わせは
ホテルとなりの本屋の前
さっき別れたばかりの MAX が
まるで俺が手に取ることをわかっていたかのように
雑誌の表紙になって目の前に現れた

思わずポケットからコインを取り出すと
その雑誌を迷わず買った
いつか チャンミンに見せようと思ったからだ
すると俺の様子を見ていたのか
後ろからアレックスが声をかける
”ユンホ ソイツのこと気に入ったの?
実は その世界じゃかなりの売れっ子有名人なんだ
誰にも靡かないけどな・・・
美人だろ?
抱いてみたいよな・・・”
誰にも靡かないはずの MAX
昨日一昨日と
2日も続けて身体を確かめ合ったのは
夢ではない
そこには確かな温もりがあった・・・
心の中で
叫び出したいほどの優越感を覚え
アレックスに答えた
『誰か コイツを堕とした奴がいたら
教えてくれよな?』
【俺はさすらいのカメラマン (ロンドン編)】
〜 FIN 〜
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~ LONDON にて 6 ~
「ユノ ユノ」
何度も俺の名前を呼ぶ ”チャンミン” が可愛くて
さっきまでの少し斜に構えた MAX とは
別人のように思えた
俺の名前を言ってからというもの
何故かチャンミンが とても素直になったような気がした
アムステルダムでチャンミンを抱いて以来
誰とも SEX なんてしていない
久しぶりだし
上手く行くかどうかなんて
わからなかったけれど
俺は無我夢中で目の前の ”チャンミン” を可愛がった
覆い被さった状態で髪をかきわけてやると
大きな瞳がうっとりする
「ユノ・・・唇に 黒子あるんだね・・・」
指でスーッとなぞられただけで
ゾクリとする
無言で微笑んでみせると
「凄くセクシー・・・」
チャンミンは そう言って大きな瞳を閉じた
どんな表情も言葉も
今の俺には 毒
瞼にキスを落とし
唇を耳へ移動させた
耳の中をいきなりペロリと舐めると
「ああん・・・」
高い声を上げ身体を捩る
耳が弱いところまでチャンミンと同じ・・・
”チャンミン” が出す声が俺の全てを刺激するのだ
たくさん声を上げさせたくて
両耳を攻め続けた
少しエッチな感じの漂う唇が開いたり閉じたり・・・
「はぁっ・・・ん・・・あん・・・ユノ・・・」
どこまで俺を夢中にさせる?
そのイヤラシイ口の中に人差し指を突っ込むと
”チャンミン” は両手で俺の手を持ち
身体を捩りながらも
夢中で俺の指を しゃぶり続けた
指の間 付け根をなめられると
『うっ・・・ん』
俺の方が声が出てしまう
肩肘をついたまま
そんな ”チャンミン” を見ながら
耳や首筋にキスをした
でも・・・
長い首はチャンミンと同じなのに
”チャンミン” という名の MAX には
黒子がなかった・・・
『・・・』
首筋の一点を見つめたまま動かない俺に
トロンとした目を向ける ”チャンミン”
半開きの口から少し光る唾液が何とも言えず
俺の煩悩に訴えかける
「どうした・・・の?」
『いや なんでもない』
黒子がない・・・
チャンミンではなかったのだ・・・
”チャンミン” は やはりチャンミンではなく
MAX だったんだ・・・
こんなことって あるのだろうか?
ここまで酷似した人物が世の中にいるのだろうか?
欲情しているはずなのに
途中で止まってしまった俺の
ほんの少しの変化も
初めて身体を重ねようとしている2人には
大きな不安を呼ぶ
繊細な ”チャンミン” が
それに気づかないはずはなかった
「ユノ・・・やっぱり
僕じゃ チャンミンの代わりにはなれない?」
『・・・』
「ダメかな? こんな僕じゃ 抱けない?」
『お前 彼女いるんだろ?
いいの? 俺とこんなことしてて・・・』
「ごめん 気にしてくれてたんだ・・・」
身体を売るようなことはしていないとか
やましいことも一切していないとか
彼女がいるとか
MAX が俺に言ったことと
今 全裸で抱き合いながらしていた行為は
完全に矛盾する
さっきの話が本当ならば
出会ったばかりの見ず知らずの男と
身体を合わせるなんてことは しないはずだろ?
ましてや ここは誰の家だと?
不思議そうに見つめる俺をじっと見返すMAX
悲しそうな瞳
「ウソだよ・・・
彼女なんていない」
『・・・』
「彼女がいると言えば必要以上に絡まれなくて済むから・・・」
『お前 何言ってんの?
絡んできたのは そっちだろ?』
「ごめん・・・ユノ・・・」
まあ 誘うように夜の街に現れたお前に
手を出さずにいられなかったのは俺だけど・・・

だって
お前 色っぽ過ぎる・・・
あんなステージを見せられて
今の今まで俺の下で感じていた ”チャンミン” を
抱きたくて堪らないのに
俺は 一体どうしたんだ?
「ユノ・・・」
その時
萎えてしまった身体の中心に
”チャンミン” の手が触れた
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~ LONDON にて 5 ~
目を閉じていると
まるでチャンミンとキスしているような錯覚を起こす
アムステルダムでの逢瀬が蘇り
無性にチャンミンが恋しくなった
お前は今 何処で何をしてる?
唇の感触まで似ている・・・
もう少し このままでいたい
「んあっ・・・」
漏れ聞こえる声までもがチャンミンと瓜二つだ
いや 似ているのではない
全く同じなのだ
俺の愛撫に
壮絶に色っぽい声で喘ぐチャンミンの
微かに動く喉仏を思い出した
頬に触れた時の感触も
俺の首に回った腕から感じる体温も
身体の細さも背の高さも
こんなに似ているなんて・・・
本当にチャンミンじゃないのか?
激しいキスを続けるうちに苦しくなってくる
荒くなる息遣いに そっと唇を離す
ハァ・・・ハァ・・・
壁にオトコを貼り付けたまま
おでこをつけて目を合わせる
怯むことなく俺を見据えるその大きな瞳には
明らかに情欲の色が宿り
続きを促すような意思を向けられているような気になった
なんて目をして俺を見るんだ
漏れる暖かい吐息が
お互いの顔を撫でるようにかかる
『チャンミン・・・』
思わず呟いた俺の耳元に唇を寄せ
「チャンミンて誰・・・?」
『なぁ・・・チャンミンだろ?』
「僕はMAXだよ・・・」
『MAX?』
「そう 韓国系イギリス人のMAXだよ」
『嘘だ・・・チャンミンだ』
「お兄さん 名前は?」
『ユンホだよ・・・知ってるだろ?』
「僕は さっきのお店で働いてるんだよ?
ユンホさん? 今日 初めて会ったんだよ」
俺の脳裏に焼きついて離れない
ステージ上の誘うようなダンス・・・
俺の胸の内を見透かすように
MAXは言った
「代わりになってあげる・・・」
その目は真剣で
俺と同様に MAXもまた
俺に叶わぬ誰かの面影を重ねているような気がした
「チャンミンになるよ・・・
大切な人なんでしょ? ユンホさんの」
そう言われた時
俺の頭には ”このまま帰る” などという選択肢は
これっぽっちも なかった
「チャンミン・・・」
『ユンホさん・・・』
本当にチャンミンがいるみたいだった
俺は 目の前の ”チャンミン” を
力一杯 ぎゅうっと抱きしめた
チャンミン 許してくれ・・・
5分くらいで着いたMAXのアパートは
狭いが綺麗に片付けられていた
イギリスらしく固く暗い感じの建物
ナースだという母親と2人暮らしだという家には
高価に見えるようなものは何もなく
壁際にあるサイドボードの上に置いてある
家族と思しき写真が入った写真立てだけが
ほんの少しだけ温かさを漂わせていた
俺もチャンミンも写真のことには一切触れず
母親は夜勤で今夜は帰らないとだけ言った
促されるままにシャワーを浴び
どちらからともなく抱き寄せあい
MAXのベッドに もつれ込んだ
がっつくように
2人とも我先にとばかりキスを仕掛け
形のいい顎に大きくキスをすると
少し上を向いたMAXが
「チャンミン・・・て呼んでいいから・・・」
同じ顔 同じ声 同じ体型の男
もう チャンミンにしか見えない
『チャンミン・・・ユノだよ』
優しく耳元に囁くと
驚いた顔をした ”チャンミン” が
「ユノ」 と叫んで勢い良く抱きついてきた
潤んだ瞳を 数秒 俺に向けた ”チャンミン” が
目を閉じたのを合図に
俺たちは どちらからともなく
ゆっくりと唇を近づけた
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